患者は70歳代、男性。
主訴は、部分床義歯装着時の不快感と疼痛による咀嚼困難。
患者は義歯不適合により義歯を新製したが、鉤歯周囲のブロックアウトによる隙間から食物残渣が侵入することによる不快感と痛みに悩まされ再来院した。
担当医は、本症例の診査・診断の結果、義歯内面をループ・シリコーン裏装することとした。
患者に診断結果および義歯の設計と使用する材質、治療手順を説明し同意を得た。
担当医は義歯の内面に印象用シリコーンを注入し印象採得を行い、浮き上がりがないことを確認した。
その後、担当医から指示書（図１）、シリコーン印象された上下顎義歯およびバイトが届けられた。
（図1）
担当技工士は上下顎義歯のボクシングを行い石膏を注入し作業用模型を製作した（図２、３）。その後咬合器に付着した。
（図２）
（図３）
作業用模型から義歯を外し（図４、５）、シリコンの厚みを確保するため、強度を考慮しながら義歯内面を削合していった。
（図４）
（図５）
担当技工士は通法に従い義歯内面にループ・シリコーンの接着を行った。その後、辺縁及びクラスプ周囲のシリコーンの調整に気を付けながら、可能な限り封鎖し研磨を行い完成させた（図６〜８）。
（図６）
（図７）
（図８）
【担当技工士のコメント】
本症例は、旧知の技工所様からのご依頼症例でした。その後、「本義歯の結果は良好である」との連絡を受けました。弊社独自のループ・シリコーン義歯製作法が、患者様や担当医様にとって有益であったことを、心から嬉しく思います。
担当技工士 渡辺晋平