患者は、60歳代男性。
 主訴は、義歯不適合による咀嚼困難および発音不良。

 

 来院時、患者は担当医に「先生が考える最高の義歯を作って欲しい」と要望した。 
 担当医は、大連結子には生体親和性がよい金合金床を選択し、2⏈7までをメタルアップし、⎿67に両翼鉤、2⏌にノンメタルクラスプを使う義歯の設計とした。
 患者に診断結果および義歯の設計と使用する材質、治療手順及び治療費用を伝え同意を得た。

 

 後日、弊社に本症例の指示書(図1)、上顎作業用模型、下顎対合歯模型が届けられた。
 担当技工士は上顎作業用模型を製作し、咬合器付着をした(図2)。
(図1)
(図2)
 
 その後、担当医の指示に従い金合金床を製作し、人工歯の配列を行った(図3)。
(図3)

 

 担当医によって口腔内での試適が行われ、咬合圧による粘膜面の機能印象を採得した(図4)。

(図4)

 

 担当技工士は、アルタードキャスト法にて作業用模型の欠損部を削除し、機能印象されたろう義歯を作業用模型に戻し、欠損部分に石膏を流し模型を製作した(図5)。
(図5)
 
 その後、担当技工士は、良好だった状態を保ちながら慎重に金属床併用のエステティックデンチャーを完成させた(図6〜9)。
(図6)
(図7)
(図8)
(図9)
 
 当日、患者は義歯を担当医から受け取り、口に入れる前に「やっぱり金はいいな」とつぶやいた。その後、義歯を装着された患者は「ピッタリ合っていて全く違和感がないし、話しやすい」と喜んだ。この感想を聞いた担当医は「やっぱり金製の義歯は優れているね。もし私が義歯を必要とする場合、金製のものを選ぶだろうね」と述べた。
 
 担当技工士
 金属床担当         :加藤 靖了
 エステティックデンチャー担当:司馬 武