初夏の頃、野山や公園でよく見かける紫の花…この花の名前 なんていうの?‥しらん!爆笑というjokeで有名な"紫蘭"の花
万葉集には蕙(けい)という名で登場。越中国に赴任した大伴家持からの書状の返事として大伴池主が書いた返書の中の一節に‥豈(あに)慮(はか)らめや、蘭蕙(らにけい)叢(くさむら)を隔て、琴罇(きんそん)つかはるること無けむ空しく令節を過して…とある。
…まぁ思ってもみませんでした。蘭と蕙が草むらに隔てられていますように、お会いすることも出来ず、琴も酒もなんの用もなく、この好い季節を過ごして‥という意味。


稲美万葉の森



紫蘭咲いていささか紅き石の隈

目に見えて涼し夏さりにけり

北原白秋


住吉神社

時代が下り、平安時代になると"蘭(らに)"は藤袴を意味するようになり 源氏物語の藤袴に蘭の花の、

いとおもしろきを、持給へりけるを、御簾の前より

さしいれて‥とある"蘭の花"とは藤袴の事