さて…ひなげしの花ですが 別名を"虞美人草"と言います。これは中国の武将項羽の愛人"虞姫(ぐき)に由来。項羽と劉邦との天下をかけた戦い(楚漢戦争)末期 垓下(がいか)の城壁に追い込まれた項羽。周りを取り囲む漢軍から故郷の楚の歌が聞こえて来た。(四面楚歌)これに絶望した項羽が愛人の虞姫に送った詩が垓下の詩です


垓下の歌   項羽

力 山を拔き 気 山を蓋う

時 利あらず 騅逝かず

騅の行かざるを奈何せん

虞や虞や なんじを奈何せん

わしの勢力は、山を引き抜き気力は山を蓋(おお)うほどじやった。しかし今運を失い、愛馬の騅(すい)も動かなくなってしまった。前に進もうとしない騅をどうしたものかのぅ? 虞姫よ!虞姫よ!お前をどうしたらいいんじゃろう?…いやもはやどうにもできぬのぅ泣くうさぎ泣くうさぎ



これに対する虞美人の返歌

漢の兵 すでに地を略し 

四方から楚の歌が聞こえる

大王 意気尽きて

賤妾 なんぞ生にやすんぜん

漢軍の兵はすでに楚の地を攻略し、城を囲んでおりまする。漢軍の兵の中から故郷の楚の国の歌が聞こえて来ます。大王項羽様は意気消沈されておられるのに、賤しい妾であるわたくしはどうすれば良いのでしょうか?‥どうして生き延びておられましょうか?‥泣くうさぎ泣くうさぎ

項羽の足手まといになると思った虞姫は自殺し、その土地からは美しい花が咲いたとされます。土地の人はこの花を虞美人の生まれ変わりと考えケシの花を虞美人草というようになったと言う伝説があります。





虞姫