ー16年前ー
せわしない狩人がクツロという猪を狙ってる
この夏の時期のクツロは脂がのってジューシー。
狩猟犬 リビニ犬と一緒に狩りに行く
(コレバ狩り)という期間だ。
狩の期間は 短期間では3週間。長期間だと2ヶ月だ
その年の天候にもよるため、神に祈るばかり。
「(そっちに向かったぞ!)」
「(逃げ足が速い、リリー!その弓矢で仕留めろ)」
「(黙れ、ゲオド)」
基本男性総出で狩りに行くが、弓矢が得意な女性もいる為同伴することも暫しある。
大人数でクツロを狙う、しかも集団だ。
クツロは基本群れをなさない。群れをなすときは
女王クツロが力強い子を産む証とされているが
そうでもない時がある
ある男が笛を鳴らす
「(東にごえがいる!半分はごえを狩りに迎え!)」
ごえ。ごえとは、鹿に類似してる性格は獰猛で
過去にも怪我人が出すほど狩りは難しく
狙い定めて、ごえを捕獲した時はその日の王者と
このどもの習わしだ
「(ええい、この時に限ってごえとはな!)」
西にはクツロ、東にはごえ。
「(追えよ、ザーツ!行け、バビロン)」
リリーと名乗るものはリビニ犬を離す。
通常、リビニ犬は飼い主と共に行動するが
ザーツ、と言ったら別方向に迎えよという合図だ
「(息が切れそう、このクツロ足が早い!追いつかないぞ。)」
「(たわけが!何を言ってるゲオド)」
「(その通りだ!捕獲できなかったら村長に怒られる)」
「(クソが。)」
走っても走っても追いつかない。
ククイというものは馬に乗ってクツロを追いかける
「(ククイ、まだ見えるか?)」
「(だんだんと見えづらくなってきた!どうしたことかあのクツロは、何をしたい)」
プギャーという鳴き声が聞こえ
「(リリー狙いを定めろ)」
「(言われなくてもわかってる!)」
「(仕方ない、俺が行ってくる)」
「(ああ、頼む)」
全速力で馬を走らせ
クツロは、木々が茂ってる右側へと曲がり
ありえない、ごえもいる。
「(アソカ、こっちにごえがいる)」
右に曲がれば仲間と合流した
「(俺たちが狙っているものだ、邪魔をするなよ)」
ククイは鼻をならし
「(当然だ)」という
曲がって、プギャーとクツロの鳴き声。
グオーンとごえの鳴き声。ククイは馬をどうどうと
止まらせた
おんぎゃ、おんぎゃ!えーん、えーん
「(赤子……)」
竹籠の中にいる赤子、母親を探している
「(何をしてる!?)」
リリーは目をぎらつかせ怒ってる、木々の先は崖だ
他の人たちも足を止めた。
「(馬鹿な!こいつらは敵対するほど性格は荒いぜ。)」ゲオドは槍を地面に刺した
「(おい、何をしてる!貴様ら!)」
「(リリー、分からないのか?)」
「(はぁ?)」リリーは矢を筒に戻したとはいえ
警戒は怠らない。
狩りをしてたものたちは、赤子の可愛さと
悲しみを目の当たりにした。
「(赤ちゃん……)」
「(こいつら、赤ちゃんを護ってたんだ。)」
ククイは馬から降りてゲオドに手綱を渡した。
クツロとごえは赤子に向かってお辞儀を
各々鳴き声を発し、森の動物たちも現れ
赤子の周りを囲む。まるで、神を祈るかのように
ククイは大家族の七人兄妹の長男。赤子の尊さを誰よりも知ってる、最近下の妹が生まれたばかりだ。
「(リリー、君にとっては気に食わないと思うけど俺はこの子を連れて帰る。)」
「(でも、この子の母親はどこにいるのか知らないんだよ?誘拐するのと同等。)」
ゲオドは崖先で人姿を見つけた
「(あれは……赤子の母親だ)」
時すでに遅し、胸に矢が刺さってる。
このども達の弓矢は紋章がある。ただ、赤子の母親の胸に刺さってる矢は別の部族によるものだ。
おそらく5日前に起きたものであろう、クツロとごえは互いに敵同士。赤子を護る理由はひとつある
リリーはすぐさまわかった「(始まりの人間……ありえない。ギモ村長は50年前に途絶えたと言ってたはず、なのにこの赤子は麦色の髪の一部に色が変わってる。)」
始まりの人間。神話の一部に過ぎないが
2人の神々が草木しかない土地に土塊の人形を作り
命の息吹をふぅと吹き込み、大地に置かれ
ひとつ歩く度に成長してゆく、隠したいものは
毛皮や布を作り隠したい。髪色の一部に感情のふき表すものは、間違って入れられたものだ。
その後髪色が変色する始まりの人間は減ってゆき
今の人間は多種多様。狩人達は武器を捨て
赤子の前でひざまつき、祈りを込めた
リリーとゲオドは認めたくなかった。
ギモ村長にこっぴどく説教が待っているからだ
しかし、赤子には罪はない。
母親は身を呈して赤子を護ったのである。
「(許さねぇ……母親をこんなにしてしまった野郎どもは私が追って、ぶった斬る)」
「(リリー、やめておけ。)」
「(ククイ……)」
「(俺が責任を負う)」
「(ククイ、馬鹿なことを言うじゃねぇ)」
「(ゲオド、ハンフシャル。今回はクツロとごえの狩りはおしまい。別の日に改めて、南側へ行こうではないか?)」
先程、笛を鳴らした男がハンフシャル。
「(リーダー・ククイが言うのであれば、仕方あるまい。)」
「(ありがとう、ハンフシャル。)」
祈りの言葉を述べようとしたら
おんぎゃ、おんぎゃと泣き出した。
狩人達は「(皆で育てよう)」と決めたのである
赤子の扱い方がわかるククイ、ハンフシャルが
里に帰る前に、森の中にある物を類寄せてミルクとオムツを作ったのであった。
リリーはデリカシーなく
「(性別はなんだ?)」
「(リリー!お前っていうやつは)」
そしたらまた、赤子が大泣きし始めた。
「(静かにしろ、リリー、ゲオド)」
流石のククイ、赤子の扱い方が上手。
ククイは内心、神の御言葉が必要だと思ったのであった。ハンフシャルの見解は赤子は約生後3ヶ月と
打診した、「(よく生き延びたな、赤ちゃん)」
すやすやと眠る赤子、怒ってばかりだったリリーも
にこやかになる。
「(なんで、赤ちゃんを見ると微笑ましくなるんだろうね。)」
「(さあ、なんでだろうね。)」
ククイはごえとクツロの様子をみたが
全く動かない。「(おい、ククイ。こいつら動かない)」
ゲオドは地面に刺してた槍を外そうとしたが
ハンフシャルが止めた
「(やめておけ、ゲオド。こいつらは赤ちゃんを見守っている、今もな。考えてみろ、去年なんか負傷した人が何人も出てきた。ごえも同じ、大ごえも出て来ては捕獲するのも一苦労。俺らに、赤ちゃんを頼むって言っていることと同じだ。)」
ゲオドは心の中で折り合いが悪く
舌打ちして「(今回だけ、許してやる)」自分と獣に吐いた。
「(帰ろう、村長(むらおさ)が待ってる)」
ククイの一言で赤子をしっかりと育てるという決心とギモ村長の説教があるということだけで
胃もたれするのもある
里に着くまでは赤子が泣いたりしてはあやす。
世話はククイが間違いなかったがどこか引っかかるものがある。
スリフ様の御言葉とこの赤ちゃんに名前を。
スリフ様は龍と動物の神様、始まりの人間のことは
なにか知っているはず
ーー
編集後記
ちょいちょいこの赤ちゃんの
成長する話がありますが
この話を書く理由は
後にわかるかと思います💦
特に「()」は
毎度の事ながら、拙い文章で
申し訳ないです。