「あれは、今思い出すだけでも辛い。」
「ユニオンさんから……『ここは、新人が出るコンテストじゃない。味も不味い・彩りも足りない。よくこんなのが店に出せるね。』確かに……ユニオンのところは料理が宝石のように見える。だからといって、俺らの店をバカにしないでよ……」
「大野さん……」
悔しい……ただただ悔しい。
次のコンテストに勝てるような料理を作らなければ……オーナーとして失格。
先代・ヨシオさんの味を守りつつ
新しいメニューを作ってる。
なぜ、俺がオーナーとして選ばれたのかは分からない。
無口で、鬼厳しい人だった。
でも、しれっとご褒美を貰ったこともある。
ー過去ー
『ほら、食べろ。』
「ヨシオさん?ど……」
『さっさと食べろ、飯が不味くなるぞ//』
「嬉しいですよね?ヨシオさん。大野さんが作ったものがよく出来たと言いたいんじゃないでしょうか?」
『////////さっさと食べないか!潤、智!恥ずかしいったらありゃしねぇ。/////』
「ありがとうございます、ヨシオさん。」
『礼を言うにはまだ、10年早いわい/////』
褒めてもらったときに
ヨシオさんが作ってくれたのは
素朴な何も手を加えてないオムライス。
普通の人が作るには相当な時間を要する。
『アイスもな/////』
ヨシオさんは手作りアイスを持ってきた。
『わしは、自分の部屋にいる/////』
ヨシオさんは普段は表情を出さないタチだが
この日に限って、顔は真っ赤。
声も妙におかしかった。
「ヨシオさん、めっちゃ照れてたね。」
「んふふ、ここに働き出してから初めて見た顔だよ。」
「門外不出のレシピか……」
「門外不出のレシピ?」
「この前、やけに眠れなくて厨房に水飲みに行ったらさ、ヨシオさん夜中でも厨房に立ってた。」
「もしかして、怒られた?」
「うん。『こらっ!潤め。門外不出のレシピを盗もうとしたな?! 』ってとんだとばっちりを受けた。僕は違いますって言ったよ。ヨシオさんって案外、ビビりかもしれないwその、門外不出のレシピは俺にも教えられてない。ただ、コンクールの為だけにしか行ってない。」
「気になるね、その門外不出のレシピ。俺はヨシオさんを越える料理人になりたい。そのために、弟子入りした。」
「あの時はしつこく『弟子入りしたいです!って言ったら』」
「弟子はやっとらん!って追い出されたもんなぁ…あれから、確か50回は行ったんだよね?」
「うんwwヨシオさんの弱点、八百屋のおばちゃん。ww」
「強烈だったなー『ヨシオさん💢いい加減、弟子を作ったらどうだい!?こんなにも何回も来てはさ、門前払いはどうかと思うよ?!、一生懸命学びたい子はいるんだよ!ヨシオさん、あなたの息子は自分がやりたい道に行ったから、諦めるんだよ!』ってねww」
「すっごい似てるwおばちゃんの一言で腰の骨をおったよね。もう、項垂れてたよなww」
あのオムライスは再現するのは出来ないのと等しい。
ー現在ー
「あれから、門外不出のレシピ見つかった?」
「いや、全く。幾ら探しても見つからない。」
「息子さんの優心さんからは?」
「知らないの一言。何せ、書斎に入ることすら許されなかったらしい。」
「そうか……どこにあるのかな、門外不出のレシピ。」
ドタドタドタ!ドンドン!
「痛い!」
二階の部屋から
ものすごい物音が聞こえてきた。
「東名?」
「スミス兄弟か?」
二人は急いで
ヨシオさんの書斎へ向かった。
そこにはケンカをしてるスミス兄弟と
東名がいた。
「お前ら、勝手にヨシオさんの書斎室に入ったな?!」
「私は違います💦ペドロさんとミックさんのケンカを止めようとしてて」
潤はこの時、呆れてた
母国語で聞き取れないようなケンカ口をしてたからだ。
「ペドロ、ミック!よく聞け!」
「師匠」
「師匠」
「なぜ、ヨシオさんの書斎室に勝手に入ったんだ?」
「だって、ミックがお宝レシピがあるって言って
こっそり入って探してた。」
「師匠、違います!ペドロが門外不出のレシピがあるって、僕を誘ったんですよ!?僕は断って……それでもペドロが煩く言うのでついて行きました……すみません。」
「この有様かよ」
二人の喧嘩の様子が
散らばってる書斎室がものを伺える。
「ペドロ、ミック」
「はいっ!」
「へ?」
「大野さん、この2人の処罰は」
「無論、ヨシオさんがやってたこと。」
「「朝一番で食材チェック、または卸問屋へ行くこと!」」
「すみませんでした!」
「ごめんなさい」
「東名は、一週間、店内掃除兼レジ打ちな。働き方次第、厨房に入ってもいいだろう。な、潤」
「/////いいだろう。」
「ありがとうございます!」
東名は嬉しくてお辞儀をしっかりした。
「こうなった以上は門外不出のレシピ探すか」
「ああ、コンクールで勝てるように。」
ヨシオさんの散らばった書斎室を片付けるのと
同時に門外不出のレシピを探し始めた。
ーーーー
side 珠理奈
この前のバラエティー
クソつまんない。
何がウェーイよ、何がとても美味しんだ?
しかも収録場所
ぼろくさい店だし。
味も……不味い。
あの、クソババァが
「世の中には美味しいものというのはないよ、出てきたものは全て不味いと思いなさい」
って小さい頃から言われ続けてきたから
何が美味しいのか、未だに分からない。
私が過去に出演した収録番組で
本気で不味いと言ってしまって
店からの出入り禁止となった。
そう仕向けたのも、ババァだ。
*再度説明しますが、珠理奈の母ミサオの事を毛嫌いしてる珠理奈。
ババァはのうのうとその店に出入りしてる。
私は悔しくて悔しくて堪らない。
ババァによる束縛が激しくて一人の時間が少ない。
だから、世の中には美味しいものというのは存在するのか疑ってしまう。
本当におばぁちゃんに会いたいよ。
あのプリンが食べたい。
どうして、どうして、おばぁちゃんと会うことが許されないの……
「一旦休憩を取ります」
スタッフさんの一声でポロリと涙が出た。
共演者の倉敷さんが
「珠理奈さん……泣いてますよ?大丈」
「うっさいわね!ほっといて!」
その場の空気が一気に冷え込んだ。
瞬く間に、悪口や陰口
そして収録後
店からの出入り禁止となった。
いつもこうだ
私はひとりぼっち。
倉敷さんが店を出た後
私に優しく接する。
「君の噂は聞いたことがある。確かに、感心しない行動だ。でも、その裏には悲しみや苦悩がある。違う?」
「…………」
「無理しなくて答えなくてもいいよ。僕は、珠理奈さんのお母さんが嫌いでね。僕のお袋を壊した元凶だから。」
「倉敷さんが私の母に恨みを持ってるのですか?」
信じられなかった。
子役から始まり
今ではイケメン俳優とはやされてる
倉敷 颯がそんなことを思っているなんて。
ある意味考えてる事は同じか。
「ああ、一言では片付けきれないほどね。逆にあの人には牢屋に入って欲しいくらいだよ。」
「……」
「こんな後ですし、ご飯に行きませんか?」
「え……私は美味しいものというものがわからないです。」
「大丈夫です、珠理奈さんもきっと気に入るはず!」
倉敷さんといると
気持ちがふわふわする。
友達とか一人たりともいないから。
初めて何かにときめいた気持ち。
ババァには黙っておかないと
後でしつこく聞いてくるから
なんで?
マネージャー辞めたのに
私にしつこくまとわりついてくるのよ
どこからか
ふわーと、焦がしキャラメルの匂いがする。
それは、おばぁちゃんが昔に作ってもらった
プリンと似てる。
「ここです!『ラ・ポロネーズ』」
私の遅咲きの彩りのある生活が始まる。
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編集後記
お久しぶりですm(*_ _)m
ええ、生きてますw
ここ数日、春ですか?と言うほど
暑い時がありまして
体に馴染めない温度です。
暑いのは嫌だ〜!😵💫
編集後記についてですが
今後は時々書きます。
それではまたね