「監査って地味な仕事だよね」、「資料の突合してて発狂しそうにならないの?」転職してからたまに言われます。監査をしたことのない方のイメージはまさにそうなんでしょう。

これから会計士になろうと考えている方、あるいは、既に現場に出ている若手の方でも同様のイメージを持っているかもしれません。

 

実際にはどうでしょうか。確かにイメージを持たれているような側面はありますが、

監査手続きはコンサルタントの大好きなフレームワークを使った問題解決の作業に他なりません。皆さんご存知のリスクアプローチがそれです。

 

みなさんもフレームワークという言葉は聞いたことがあると思います。

3C分析とか5force分析とかSWOT分析とかの類です。

コンサルタントは何をどう深ぼるのか検討するため、あるいは、わかりやすく整理するため、

抜けもれなく検討をできる「枠組み」を活用・考案します。

ここをいかに美しく整理できるかが腕の見せ所です。(実際には実行・導入まで落とし込めて初めて価値のある仕事となりますが・・・)

 

さて、監査では監査リスクを極小化するために、監査リスクを3つに分解します。

監査リスク=固有リスク×統制リスク×発見リスク

MECEですねー。

そして、試算表の各科目についてすべて上記のモデルに基づき検証していきます。

なんと効率的な手続きなのかと感心します。

 

例えば、新人の方がやるであろう固定資産の検証(減損除く)なんかではこんな感じです。

STEP1.リスク評価(固有リスクの検討)

まずは、どんなリスクがあるかを考えます。

これも時系列に沿って考えると漏れないでしょう。

固定資産は購入→使用→除却・処分・買替というサイクルになるでしょうから、それぞれの時点で起きうるリスクを考えます。以下の感じでしょうか。

・実際には購入していないにもかかわらず資産計上

・実際の購入額と異なる金額を資産計上

・実際の購入資産内容と異なる資産科目で資産計上

・実際には購入しているにもかかわらず資産計上しない

・減価償却計算を実施しない

・減価償却計算を間違える(償却方法間違い、計算基礎間違い、単なる計算間違い)

・既に売却・除却しているにもかかわらず資産計上されたまま

・実際には売却・除却されていないにもかかわらず売却・除却処理

・実際の売却・除却額とは異なる金額で売却・除却処理

 

STEP.2上記リスクに対応する内部統制の整備状況の把握

・資産計上にあたっては、注文書・支払明細等のエビデンスが必要

・当該エビデンスと資産計上額との一致・資産内容と計上科目との整合性を入力担当者の上長が確認の上承認

・未処理のエビデンスがないことを月次で確認

(上記3点については除売却についても同様のプロセスあり)

・上記プロセスを経て固定資産管理システムに登録された固定資産はパッケージソフトのプログラムにより減価償却計算される

 

STEP.3内部統制の有効性を検証

・STEP2で識別した内部統制のうち、重要なコントロールはすべてサンプルで検証して、その有効性を検証する

・たとえば、資産計上された固定資産からサンプルを抽出して、注文書・支払明細の有無、資産計上額・内容と勘定科目の一致及び上長の承認の証跡を確認

・当該内容の通り固定資産管理システムに登録されているかを確認

・固定資産管理システムの減価償却計算結果の正確性を再計算を実施して確認

 

STEP.4実証手続きの実施

・正直固定資産なんかだとオーバーオール的に増減理由に説明がついてしまうのであれば、上記の検証をしたらもう十分だと私なんかは思ってしまいます。

・実際には、実査をやったりカットオフエラーを見に行ったりします

 

どうですか?美しいと思いませんか。

監査はこの繰り返しです。

・何がリスクなんだ?

・それを防ぐ内部統制はなんかないか?

・その有効性はどうだ?

・そのリスクが顕在化していないというための証拠・根拠はなんだ?

を常に考えて粛々と調書に落とし込めばいいわけです。

 

クリエイティブな仕事ではないですが、極めてロジカルな世界での仕事だと思います。

上記の問いかけを常にしながらヒアリングや監査手続きを考えてやってみてください。