昨年の4月に後継者問題で悩む企業の経営者から相談を受けた。後継に考えていた息子さんが、父親が経営する会社を継がないとキッパリ断った。父親も考えた末に、毎日追われていた仕事から少し離れて自分のやりたかったことをしながら余生を送りたいということだった。そこで私にこの相談が知り合いを通じて持ち込まれた。
事業譲渡を手掛けるのは、はじめてである。まず内容を聞くのに守秘義務契約を結んだ。内容を聞くと「従業員や下請けに迷惑をかけたくない。売り上げも業績も良い。ただ、地理的に少し都市部から遠い。」という内容だった。この会社の業種なら買収するところは、いくつか心当たりがある。しかし、契約などをどのようにすればいいのかわからなかったので、知り合いの行政書士に聞くと「難しい」「責任が持てない。」などというネガティブな返事だった。
この言葉を跳ね返して譲渡したいところと同じ業界の営業部長に知り合いがいないか?を聞くと。その会社の顧問をしている銀行のOBの方が、半年前に同じ業界の事業譲渡を成約させた。とのことだった。紹介するとのことでその会社の顧問に会った。するとのっけから「貴方が契約書などを作成するように。また、この仕事はなかなか難しい。手数料の配分は、私が考える」と一方的な内容だった。私は、「この人とは、関わりたくないな。」と思いながらも自分にわからないことが多かったので、一旦、保留にしながら、証券会社にいた知り合いに相談すると「今まで、何回も物件を投げたけども成約したことがない人がいる。しかし、人柄はいいよ。仕事は未知数だ。」とのことだったが、「すぐに紹介してほしい」と伝えて、2、3日後にその方と会った。紹介者が言ってたような感じではなかったので、「この人に掛けてみよう」と思い今回の仕事の依頼をした。
早速、譲渡したい経営者と会ってもらい手続きを進めた。仲介契約は、早く譲渡したいとの意向だったので先方を安心させるために4か月ごとの更新にした。
これには、正直、買い手を探すのに、応じるところが出てこなくてヒヤヒヤした。
譲渡する会社は、技術者を何人も抱えていたので、人手不足の業界だったので最終的には、2社買い手がついた。業績や財務内容は申し分なかったが、会社の場所が地理的に都市部から離れていたことがネックだったが、無事、一年がかりで成約に至った。仲介を誠実にしてくれた彼とはまたユニットを組んでこれからもやろうと考えている。
このような長閑なところにある企業。