『オールドファッションカップケーキ』の二次創作です。

前回の4で終わったはずですが、実は後日談も考えていまして。もう少しお付き合いください。

最後に、ネタばらし的なこともあります。

とにかく妄想ですので、ご容赦お願いします🙇⤵️




昼休みに、外川は久しぶりの手作り弁当を前にして、「いただきます」と手を合わせた。

野末が作り置きしてくれたおかずを、自分で詰め合わせたものだった。


桐島部長の「視察」に野末も同行して来たにのは驚いたが、久しぶりに二人だけの甘い時間を過ごすことができて、外川はすっかり元気を取り戻していた。

野末は、東京に戻る前に、外川のためにと、栄養を考えた料理を何品も作り置きしてくれた。朝と晩のメイン、そしてお昼の弁当用に小分けした副菜。

「お弁当には、チンして、少し粗熱を取ってから詰めるんだよ」

野末と一緒にスーパーに買い出しに行って、弁当箱もあつらえてもらった。ご飯だけは、毎朝自分で炊いている。あとは、言われた通りにおかずを詰めて、初めて自分で弁当を作った。


外川が野末の愛情を噛みしめていると、外回りから戻ったM係長が外川の弁当に気がついて、近寄ってきた。

「あれ~、弁当なんて珍しいんじゃないの?」

弁当を覗き込んで、わぞとらしく大きな声をあげる。

「厚焼き玉子に、レンコンのきんぴら、ピーマンの肉詰め。どう見ても手作りだよね?」

その大きな声で、部屋中の人たちの視線が外川に向けられる。とりわけ、外川が弁当を持っていたことで、さっきから様子を窺っていた女子社員たちが、一斉に振り向いた。

「なんだ~、週末に東京から恋人でも遊びに来たか~?」

M係長が、ニヤニヤしながら話を続ける。

「あ、これはパワハラか?セクハラ?」

今日はM係長がやけに突っかかって来ると思いながらも、外川は無視をして弁当を頬張った。


弁当を食べ終えて、コーヒーを持ってテラスへ出ると、先にM係長が休憩していた。

M係長は、よっ、と軽く右手を上げて、外川の方にやって来る。

「さっきは悪かったかな?」

「別に、構いませんよ。本当のことだし」

コーヒーを飲みながら、外川は軽く受け流す。

「お?認めるんだ?」

M係長は、またニヤニヤしながら、外川をじっと見つめる。

「しかし、君もやるもんだね」

「はぁ?」外川が、何のことかわからずに戸惑っていると、

「さなえさん」

M係長が、ボソッと呟く。

外川は、不意に思わぬ名前を出されて、コーヒーを噴き出しそうになった。M係長は、そんな外川の反応を楽しんでいるふうだった。

「どうして知ってるんだ?って顔してるね。福岡で君が酔いつぶれた時に、寝言で名前を言ってたんだよ」

外川は焦って思い出そうとしたが、覚えていなかった。

「社内恋愛で、でも付き合ってることは内緒で、年上っぽくて。どんな人なのか、当然、興味もわくだろ?」

野末は、自分たちのことを周りに知られないか、いつも不安に思っていた。社内の噂や社会的な立場など、野末のことを考えると、外川は言葉が出てこなかった。

外川が、M係長の次の言葉に身構えていると、

「それにしても、君はずいぶんと愛されてるんだね?」

「えっ?」想像もしなかった展開に驚く。

「君に悪い虫が付かないか心配で、長崎まで来たんだろ?俺なんか、思い切り牽制されたし」

外川は、野末が帰る前に言っていた忠告を思い出していた。

(みんなから狙われてるってことを自覚した方が良いよ。女の子からだけじゃなくてね)

「それって?」

外川の問いかけをはぐらかすように

「手作り弁当を置いて行くなんて、虫除けに決まってるじゃないか。だから、俺もさっき協力してあげただろ?」

おどけるように言ってM係長は仕事に戻って行った。

「今度、どうやって年上の上司を落としたのか、聞かせてくれよ」

手を上げるM係長の後ろ姿を、外川は呆然と見送った。



その後、女子社員たちの間で「外川は、本社の年上の彼女と秘密の社内恋愛をしている」と言う噂が流れ、さらに「相手は桐島部長で、わざわざ外川に会いに長崎まで来たらしい」との尾ひれが付いていた。

もちろん、噂の出所はわからず、外川もそんな噂が流れていることには気づかなかった。



今度こそ終わり。

こんなオチですみません🙇💦



ここから、ちょっとネタばらし。

今回の二次創作は、このブログでお付き合いさせていただいている時計うさぎさんからのリクエストがきっかけです。「長崎転勤」と「ライバル出現」(でしたっけ?)のお題もあって。


そうなると、真っ先に思い浮かべるのは、『チェリまほ THE MOVIE』ですよね?

元々、ドラマ『チェリまほ』が大好きで、『チェリまほザム』も凄く嬉しくて、楽しみにしてたんですよ。

内容は良かったし、何より”くろあだ"に再び会えたし。でも、ちょっと消化不良な部分があって。


当時の映画の感想で書いてるから、ここではあまり書きませんけど。

ただねぇ、「ドラマの黒沢だったら、安達に会いたくて、長崎まで行っちゃうだろうなぁ」って思って。豊田先生、監督さん、脚本家の方、様々なメッセージが込められていたと思いますが、でも、私はもっと明るいラブラブの二人が見たかったなぁ~、なんてね。

だから、今回の『OFCC』二次創作は、ちょっとくろあだを意識しています。


これは、あくまでも個人的な気持ちですから。

映画は映画で、素敵なことには変わりないですから。


では、チャオ🙋