初デート *3 


「早く行きましょ〜」

 

「待った~。

 昨日のラインでキャッチボールしようって

   言ったやん」

 

「え~。ライブ間に合いませんよ?」

 

「少しだけなら大丈夫だって~」

 

「いやいや・・・」

 

私が止めても無駄だった。

大樹さんは自分のグローブとボールを持ち、

駐車場の端の方へ下がり始めた。

私も急いでグローブを手に取り、構える。

 

行くぞ」

 

そういってボールを投げる。

本当に少しではあったが、

大樹さんとやってみたいことがまた1つ叶った。


「まこ、意外と球速いし、うまいじゃん!」


「馬鹿にしすぎですよ〜。

   ていうか、本当にマイペースなんだから〜」


「ん〜?なんか言った?」


「何でもないです!」

 

その結果、ライブ会場には

猛ダッシュするはめになった。

やっと辿り着いた会場の中は人で

ごった返している。

後ろの方に並び、ホッとしたのは束の間。

 

MACOちゃんのライブが始まった。

 

私が知っている曲も、知らない曲も含め、

沢山の曲を披露してくれた。

MACOちゃんのライブも初めてだが、

実は今までライブには一度も行ったことがない。

生歌は人生初。

CDで聞くより迫力があって、きれいな声だ。

会場が一つになって盛り上がっている。

 

隣には好きな人がいる。

会場は立ち見席で

お客さんがいっぱい入っていて、

隣との距離はだいぶ近く、押されることもあり、

大樹さんに何度もぶつかりそうになる。

いつもより大樹さんが近くに居て、

ドキドキが止まらない。


身長だってこんなに違かったんだ・・・。

久しぶりに見る横顔。

車に乗っている時からずっと、

何度も見てしまっていた。

勝手に照れて、勝手にドキドキして、

やっぱり好きなんだな・・・。

 

あっという間にライブは終盤を迎える。

あぁ、もうちょっとでこの幸せな時間も

終わっちゃうのか

・・・そう思っていた時、

 

♪~

 

聞きなれたイントロだ。

そう思い、大樹さんを見上げる。

すると、大樹さんも私の方を見ていた。

今日初めて目が合った。

 

「HEROだな♪」

 

大樹さんは微笑み、私の耳元でつぶやいた。

一気に耳元へ大樹さんが近づき、

私の体は固まった。

その瞬間、涙が頬を伝った。

 

 

大ちゃん、どうして私のこと

いつもドキドキさせるの?

あの頃の私は、

あなたの行動にいつも驚かされていた。

大ちゃんの無邪気な笑顔に癒されていたんだよ。

たぶん、あの時の涙は、

うれし涙だったと思うの。

涙が出たのに嬉しくて、心がポカポカしてたの。

大ちゃんが愛おしいって。

一緒に居たいってそう思ったの。

初めて私に誰かを愛おしいって思う気持ちを

教えてくれたの。

愛おしいってなんて表現したらいいんだろう。

でも、本当に愛おしいって

その言葉でしか表せられなかったんだよ・・・。

 

ライブ後、車に戻った私たちは、

もちろんMACOちゃんの話で盛り上がった。

 

一瞬、二人の間に沈黙が流れた・・・。

 

「まこ、手握っていい?」

「・・・うん」

 

そう言って、大樹さんは私の手を握った。

終電が迫るなかMACOちゃんの曲がかかる車内で

お互いぬくもりを感じながら時間を過ごした。



*恋、まこ*

今日も恋していますか?

次回もよろしくお願いします🥰