新しい出会い *2

 

その日から、私は電話番号を教えてくれた彼に

ときどき電話をかけるようになった。

 

―大野廉太郎(おおの れんたろう)―

彼の名前だ。私と同い年で、

千葉県で鉄道関係の仕事をしている。

4人兄弟の3番目。

電話をするうちに

廉の心に封じ込めている悩みや

辛い過去も知ることになった。

廉の両親は離婚をしている。

離婚のきっかけの一つに、

廉の一番上の兄の自殺がある。

その出来事から、母親はうつ状態になり、

ケンカが増え、家庭が崩壊していった。

廉も1年くらいうつ状態で何もする気力が起きず、

家の中に引きこもっていた過去を語った。

廉は自分が兄の変化に気づけなかったことを

責めている。

離婚当初、廉と2番目の兄は父親に、

一番下の妹は母親に親権が渡ったが、

廉は母親が心配でときどき電話をかけたり、

家に様子を見に行っているらしい。

とても、責任感が強く、

家族思いで本当に温かい人だった。

 

「廉は、なんで私に辛いこと話してくれたの?」

 

「まこと話してると、気持ちが楽になる。

 今まで誰にも言えなかったことなのに、

 まこには言えたんだよな。

 自分でもびっくりだし、

 あの時、涙すら出なかったのに、

 まこには号泣しちゃった。かっこ悪いな~」

 

「かっこ悪くない!

 廉は本当に家族思いで心が優しい。

 だから、自分のせいでとか、

 自分も辛いのにしっかりしなきゃって

 泣くの我慢してたんだよ。

 廉は自分に厳しすぎる。

 自分を許してあげて、認めてあげないと

 廉が可哀そう。

 辛いときは辛いって言っていいんだからね」

 

「まこ、ありがとう」

 

廉は昔、泣き虫だったのかな。

そう思うくらい大声で一生懸命泣いてた。

それでいいんだよ、廉・・・。

それからもっと、もっと私は廉と仲良くなった。

国試勉強をする私を廉は一番に励ましてくれた。

時間があるときは、

電話をつなぎながら夜遅くまで、

朝は早くから勉強に付き合ってくれた。

 

国試1週間前、

電話をしているといきなり廉は

カウントダウンを始めた。

 

「5・4・3・2・1」

 

♪ピンポーン

 

「えっ!?どういうこと?」

 

「いいから玄関のドア開けてきな!」

 

廉に言われるがまま、

私は玄関のドアを開け、

レターパックを受け取った。

 

“大野廉太郎”

 

廉からだ。そういえば、前、住所聞かれたっけ?

急いで部屋に戻り、廉に問いかける。

 

「廉からだよ!何入ってるの?」

 

「もう手元にあるんだから、開けてみなよ() 

 そしたら分かるから」

 

そう言われ、私は封を開けた。

「御守り・・・」

 

「正解!まこ、頑張ってるから

 学問の神様にお祈りしてきた」

 

「うれしい。ありがとう・・・。

 私頑張る!!」

 

廉からの応援を受け、

私は一週間後の国家試験に臨むことができた。



*恋、まこ*

今日も恋していますか?

次回もよろしくね🧡