私の好きな人 *5

 

「まこ、今日は遠くからありがとうね」


「いやいや、卒業旅行のついでだもん。

 こちらこそ、会ってくれてありがとう」


「うん・・・。あのさー」


「ん?」


「ちょっと目瞑ってー」


「なになに?急に怖いんだけど~」


「大丈夫だから() ほら、早く!」

 

私は言われるがままに目を瞑り、

海風を顔に受けながら彼の言葉を待った。

すると、首元に少し廉の手が当たる。

何かと思い、すぐに目を開けると、


私の首元にはキラキラ輝くネックレスがあった。

 

「えっ・・・」


「ネックレス。まこに似合うと思って」


「いやいや、こんなに高そうなもの貰えないよ。

 どうしたの廉?」


「貰って欲しい。いつものお礼だから!

 まこ、すごく似合ってる!」


「お礼なんていいのに。

 私だって廉に感謝することいっぱいで、

 お互い様でしょ?」


「そうだな。お互い様だな。

 まこ、もう一つ話があるんだけど・・・」


「なに?」

 

廉は急に立ち上がり、海に向かって叫んだ。

 

「僕は佐倉まこのことが好きです」

 

えっ・・・。

廉は恥ずかしそうに鼻を掻きながら、

恐る恐る私の方に振り返る。

 

「すぐに答え欲しい訳じゃないから・・・。

 ちょっと考えてみて?」

 

一瞬、頭が真っ白になる。

廉が私のこと好き?

びっくりして言葉も出てこない。

でも・・・

すぐに頭に浮かんだのは大ちゃんの顔だった。


考えなくても私のなかで答えは出ていた。

私にとって廉は大切な友達だ。

私のためにこんなサプライズまで

準備してくれたのに断るのは心苦しい・・・


でも、答えを先延ばしにして

変に期待もさせたくない。

 

「ごめんなさい。私ね、好きな人がいるの。

 だから、本当にうれしいんだけど、

 このネックレスは受け取れないよ・・・」

 

「そっか・・・」


肩を落とし、うつむく廉。

でもすぐに、いつものように話し始めた。

 

「そのネックレス、

 まこに本当に似合っているからあげるよ。

 勿体ないしさ!」


「廉・・・」


「いいから!

 それより、まこに好きな人居たんだな?

 そりゃ、無理だよな!ごめん、ごめん」


「いやいや、廉が謝ることじゃないよ」


「その人と付き合ってるの?」


「付き合ってたら、廉に会いに来ないでしょ」


「あ~そうだよな。

 じゃあ、まだ僕が入る隙間が

 あるってことか()

 

廉はそう言うと笑った。

廉の気持ちに全然気づいてなかった。

ごめん、廉。

何も知らないで、

簡単に会うなんて言っちゃって。

でも、好きって言われて

素直に嬉しかったよ・・・ありがとう。


私たちは車に戻り、

廉は何もなかったように私に話しかけてくれる。

廉は私に気を遣わせないように、

普通で居てくれる。それも廉の優しさなんだ。

これからも友達で居ようね・・・。

私は小声で運転する廉にそうつぶやいた。



*恋、まこ*

今日も恋していますか?

私の好きな人 完。

次章もお楽しみに☺️