ふろしき行脚 七日目
グルジアでのレクチャー・ワークショップ
二日目 グルジアでは首都トビリシのみ
江戸しぐさは商人道で、繁盛しぐさ。
そして、この繁盛は己が店だけの
一人勝ちではなく、同じ業種の他店も
共倒れしないようにする繁盛。
ここが欧米で強者は弱者をつぶし、
より大きくなって行くのと違うところ。
江戸しぐさの共生の思想がここにあった。
たとえば、江戸では同じ業種は丁ごとに
三軒以内にとどめたという。
そして、例えば銭湯なら三軒のうち、
一軒はいつも開業しているようにした。
こうすれば、庶民はいつでも風呂に入れるし、
銭湯の方はお休みを取ることが出来る。
合理的だし、誰も無理なく被害も無かった。
今、コンビニをはじめ、どこの店も
休みが殆どなく営業時間も長い。
24時間365日営業している店舗も多い。
確かに便利で助かることもあるが、
こういうことの積み重ねで、過当競争になり、
大きいところしか生き残れなくなり、
多くの個人営業主は消えていかざるを得なくなり、
大きい会社の言うままにせねばならなくなっている。
そして、こういうシステムの中で生きるということは、
仕事の時間の自由は利かず、生活リズムは崩され、
家庭で家族が集う時間は少なくなる。
大人は、お金を得るための仕事と時間に追われ、
こどもたちはそんな大人の姿を見て育つのだから、
本来の生きる意味を考えるチャンスはない。
このシステムの中で、例えばコンビニの経営者は、
ほとんどが疲弊し、どんどん廃業しているのが現実。
沢山の店舗が夜中も営業しているから、
電気は使うし、私たちの生活のリズムは
自然とどんどん離れて行く。
元々、人間は動物だから体内時計があり、
お天道様が登ると、からだが目覚め、
お天道様が沈むと、自然と眠りについたのだ。
商人道として、今のシステムは決して
繁盛しぐさとは思えないし、人として生きる道としても、
ちっとも豊かで幸せとは思えない。
今、日本の先行きを思う時、一人勝ちでなく、
共倒れせず、互いに伸びあい、共に生きる道を
作り出して行って欲しいと思います。
日本の知恵 二つ包み
Furoshiki & Japanese culture concierge
Junko Tsutsumi