食欲がないのに確実におなかは減っている。

食べるものに味なんかない。

違ったものを食べると、よくわからない不安に襲われるから毎日同じものを食べる。




昔人類は、生きるために食べることが必要だった。

今だって、動物はそう。

おいしいとか、今日は何を食べようか、なんて選んでる余裕はなくて、

いつも同じもので、それすら探して採って食べるのに必死。

それはなぜか。



「イキルタメニヒツヨウダカラ」



結局ここにたどり着く。


でも、現代人は食べることに幸せを感じ、おいしいものを求める。

生きることにプラスアルファを求める。



「ソレガニンゲンダ」



それが答えなら。



私は何なんだろう。



退化してる。

光が眩しい。




昨晩は屋根が吹き飛ばされそうな強風に、度々目を覚まし、結局その風の音で目覚めることとなった。

「いっそ吹き飛ばされればいいのに。」

そんなことをつぶやいてみる。


休日だけはめる指輪は、だいぶゆるくなってしまっていた。

「仕事中はアクセサリー厳禁」な職場だから仕方ないのだけれど、

定位置にあったことも忘れてしまうくらい自然な指の感覚と、ゆるくなった指輪が、妙な違和感を生み出している。

「痩せてしまってたんだ。」

嬉しいような、やっぱりなっていうような。


私の中で抱え込んでいたものが今一気にあふれ出している。

負の感情ばかり。




光を見ることすら怖くなっていた。




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最近すっかり春めいている。

梅か桃かわからない花がピンク色にひらく。

そして春の風をつれてくる。

あったかい、そうあったかいにおいのする風。




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昨晩の風は強かった。

あったかい風。

強い風。

でも、この気持ちは吹き飛ばしてくれなかった。



風が緑色の匂いを運んでくるときは、何かが変わっていていますように。

自分も。

そして世界も。




そんなことを思ってしまう日曜の夕方。




今日は晴れ。

久しぶりの洗濯。

洗濯機が悲鳴を上げるほどの量と回数。

それだけで時間が過ぎていくのがもったいなかったけど、今日は特に予定はなかった。



窓から見える景色は、左から右へ流れていく雲以外、何も動くものはない。



「ここにいたらダメ」



そんなのはわかっているけど、結局安易な選択をしてきた私には、動き出す力が蓄えられていない。


なんとなく生きてなんとなく時間が過ぎている。

そんなのはもう嫌だ。


楽しいとか嬉しいっていう感情で笑っていたい。


でも人は便利な生き物で。

感情を隠して生きることができる。

「愛想」って何?

愛想よく生きてたら得をすることも多いと思うけど、それと引き換えに何かを失っている気がして。


正直に生きることが難しい世界なんて、おかしい。


自分を消して世の中をうまく渡っていくより、

自分らしく不器用に生きたい。





「窓から見える景色は、左から右へ流れていく雲以外、何も動くものはない。」


でも本当は、雲を動かす風がある。

いや、雲は動いていなくて、動いているように見えるのは地球が回ってるからかもしれない。

雲だけじゃなくて、太陽もその位置を変えてることにも気付いていた?

なによりも、それを見る私の目は絶えず動いて、瞬きをしていたんだ。



選択肢はひとつじゃない。