2015年12月、ロシア・ハバロフスク旅行その12 | キッチントレーダーさやた

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 ここからは全て、特に表記が無ければスマホアプリの翻訳と、その場の雰囲気での意訳で、出来る限りありのまま起こったことを当ブログに記す。

さやた「明日帰国するので、部屋に戻って荷物まとめます」
ガードマン「それで、あなたは今から何をするんですか」
さ「だから、今言った通り、部屋に戻って荷物まとめるんですよ」
ガ「だから、今から何をするのかって聞いてんですよ」
 何か話が通じない。とりあえず話を介してもらうため、2人でフロントに移動すると、フロントの男性が困り顔で何やらガードマンと話しているが、またガードマンは同じ質問を繰り返し、要求がエスカレートしてくる。
さ「彼(ガードマン)は何を言っているんですか?」
フロント「分からない」
ガ「あなたの部屋を開けて見せなさい」
 ここで自分は、かつてロシア警官が外国人観光客に難癖を付け、賄賂を要求する事例が多々あったことを思い出す。ロシア旅行にはビザが必要だが、ビザには滞在日数や場所など予定が全て記されており、それを変更すると出国できなくなり、再度変更や許可を得るために時間もお金もかかる。そうなると観光客は、賄賂を要求されると「ここでトラブルを起こすとマズい」と判断し、賄賂を払って解放される選択をしがちになる。かつてロシアは半官半民で警察業だけでは食べていけない「民警」が多く、賄賂が彼らの収入源だったわけだが、それは国際的にも良くないと判断した政府が、「給料3倍にしてやるから賄賂取るな」的な政策で、専業の警察を組織し、賄賂は格段に減ったという。「地球の歩き方」や外務省HPでは、「賄賂はかなり減ったが油断するな。もし絡まれたら身分を明かすようロシア語で示した文書を見せ、その上で日本大使館や領事館に電話し救助を求め、絶対に払うな」と書いてあり、


今がその瞬間なのでは


と判断する。


さ「もしかして、売春婦でもいるのか?」
ガ「違う」
さ「もし売春婦がいたら、その場で逮捕するつもりだろう!」
ガ「いいから早く部屋を開けろ」
さ「日本大使館に連絡する。大使館員立ち会いのもとでないと、部屋は開けない」
ガ「そんなことしなくていいから。部屋を開けるだけだ」


さ「(ホテル中に響きわたる大声で)NO!」

 

 一度大声を出したら、ガードマンの強硬さが一瞬緩んだようで、それ以上の質問や要求をしてこなくなった。この間に、緊急時の連絡先としてプリントしておいた在ロシア日本大使館へTELすると、ハバロフスク領事館が深夜で対応できなかったらしく、時差のあるモスクワ大使館へ繋がる。
大使館員「はい、どうしました?」
さ「ハバロフスクのアリホテルで、ガードマンか警官か分かりませんが、何をするのか、部屋を見せろなどしつこく聞いてきて解放してくれません。賄賂の要求のような気がします」
大「分かりました。ガードマンに話しますので、電話を代わって下さい」
携帯電話をガードマンに渡すと、何やらロシア語で会話が始まる。この間10分ほど、

 身長180センチ、体重80キロあろうかというガードマンの鼻先10センチまで顔を近づけ、思い切り睨み続けてみた。

下品な言葉で言えばガン付けである!!
 

 ガードマンは目を逸らしつつ電話を継続。この時の心境は「ちょっと絡めば、誰でも賄賂渡すって思ってたんだろうが、そうはいかない人間もこの世にいるんだよ。特に、日本人だから狙ったんだろ?モメごと嫌って何でも要求出来ると思ってただろ?認めたくないが、体面を気にして何でもなあなあで済まし、泣き寝入りしやすい国民性があるからな。だがな、ここは一歩も引かねえぞ。大使館員が来るまで、何日でもここで睨み合ってやるよ!さあ、国際問題にしてやるから、長い夜を過ごそおぜえ!


日本人舐めんなよ!!!!


」と思いつつ、


内心はガクブルで小便を漏らしそうだ。
 

 ガードマンから携帯を返され、大使館員と話す。
大「どうも彼は、今がクリスマスシーズンでパーティーが多く、ホテルに不特定多数の人間が出入りしているから、部屋まで安全に送ろうとしただけと言ってますが・・・」

はあ?!!

大「本当かどうかは分からないですけど、もうあなたに質問や要求はないようですし、これで終わってもいいんじゃないですか?もしまた何かあったら、こちらで対応しますから」
 ガードマンの顔を横目に見ると、何やら諦めたかのような表情を確認。騒ぎを聞きつけ周囲に集まっていた警官やホテル従業員も「やれやれ」的な表情を浮かべている。こちらも5時間後に帰国が迫っており、ガードマンを法廷に引っ張り出すことも難しい以上、「ここが落とし所か・・・」と判断。大使館員に「助けていただいて、ありがとうございました」と礼を述べたのち、スマホアプリで「部屋まで送ってくれるとのことで、どうもありがとうございます。でも私は、1人で大丈夫です。日本に帰ったら、ロシアの人々は紳士だったと家族や友人に伝えます」と表示し、その場にいた5人全員に画面をゆっくり見せ、一人ずつ両手で握手し大げさに「スパシーバ!」と笑顔で述べ、

ロシア人5人全員苦笑い

させて部屋に戻る。この記録は今でもスマホに残っている。
 実はここまで、ガードマンは賄賂を要求するような文言は一言も言っていない。だが、帰国5時間前という、極めてトラブルを避けたい時間を狙ってきたこと、「部屋まで送ろうとしただけ」という言葉があまりに信じられないこと(だったら最初からそう言えよこのやろう)、ガードマンに絡まれている間ホテルマンが困り顔でこっそりマネーサインを出してきたこと(帰国直前なのを心配して?それともグル?)など、賄賂を要求しようとして失敗したと考えれば、全ての辻褄が合うのだ。

 結局真実は分からないが、脅迫や威嚇もされてない以上、言葉が分からない人間がその場の雰囲気だけで、彼らを悪人と断定したくはないのだ。

 ガードマンから解放されて部屋に戻る途中、緊張で息苦しかったこと、堂々と歩こうと意識し不自然な靴音を立てていたことなど、今から思い出すだけでドキドキしてくる。この時に助けてくれた大使館職員には、改めてお礼を言いたい。


ああ怖かった。 


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