病院帰り。


 受付で女性が怪訝そうに尋ねた。

「きのうも来られました?」

一瞬で理解した。

「それ、去年じゃないですか?」

パネルに目を落とす。あ!と彼女の目が笑う。

 

 そう昨年も喉の痛みから。

昨年はその前夜図書館で気づいた。覚えのある痛み、呼吸できない感じ。翌朝、病院へ。


 今年は全然疑わなかった。疲れだと思ってた。

 夏は明るいからいつも寝不足気味。何をしなくとも疲れがたまる。暑いし湿気てるし。

 もともと耳の骨の形が問題と判断した耳鼻科もいた。突発性難聴も同じ左。耳の内側から喉までいつも腫れぼったいし、疲れたらそのあたりから声が掠れる。加えて飛行機で往復すると必ず口内炎になる。だから、一日受診が遅れた。


 なんかずっと喉の調子悪い、しかも症状と場所が移っているやんか、と思って、やっと気づいた。


 コロナじゃん。


 3回目ってあり?

 去年はいつ?やはり、飛行機に乗った後〜去年職場に連絡した時のラインを見る。

 昨年の今日の日付だ。ドンピシャすぎて目が丸くなる。


 7月1日に職場に塩を盛るの忘れてたなぁ〜。1日は私用で有休。毎月1日、私はこっそり塩を盛る。できたら職場を掃除する。最近サボってた。ふと最近の職場事情を思う。

 二、三代の上司が続けて入院してる。それに家族さんたちが続け様に怪我や入院する。節分の鬼からもらう藁のお守りを天井のハリの内側に貼ってる人もいた。敏感だ。まぁなんでもいいというか、要は心の構え。




 

 しかし3回目だから、構えなどと、偉そうには言えない。私の弱い喉はコロナに好かれやすいんだと思う。


 さて、今日のラッキーカラーはターコイズらしい。それならある。





 

 帰りには雲が空から稜線に沿って退き始めていた。梅雨が夏に道を開けているではないか。


 お医者さんは「10数えますよ」と言って、細い綿棒を私の詰まっている方の鼻の穴に挿入してカウント。で、10で抜く思ったら、確認するかのように2、3回鼻の奥にツンツンと入れてから抜いた。いたっ!コロナやね、と、苦笑い。

 ですよねーえー知ってるかも〜。

 ついでに薬局さんでもクスッと笑われる。


 それにしても喉が渇く。平熱なのに。喉や耳下腺、胸だけがしっかりコロナで炎症中?すごいな、私のエネルギー吸い取ってるのね。



 食糧仕入れなきゃ。熱出るかも。

久しぶりの八百屋さん。大きなマスクしてるから気づかない?

 病気といったら🍑桃じゃないですか?

缶詰🥫もいいけど色鮮やかなのが並んでる。

 白と赤とを一個ずつ。取っていただく。

家にスイカ🍉があるからふだんなら買わないところだ。でも病気なんで。

 普通の食事は何気に胃腸が拒むかも。

 最近は、病気と疲労の差が自分でもわからない。いつも疲れているからなのか。少食になったから、食欲不振もわからない。

 食事にもメリハリつけなきゃなぁ、と、気づく。気づくのはいつも遅い。


 

 あと、今年初、とうもろこし🌽

こちらは白は買わずに黄色🟡で。大ぶり地元兵庫産。茹でて半分に割っておく。小腹を養ってくれるだろう。


 今日は歴史的暑さだけど、よく晴れて、目に映る色はどれも鮮やかだ。

 それでも急激に暑くなるから、育つ実りも育たなくなったり、収穫の計画を狂わすのだという。

 

 我が家のベランダも急激に暑くなって、数えるほどの植物ではあるけど、大丈夫かな、対策しなきゃ。毎年それができなくてベランダで植物を育てなくなった。


 どうせ家にいるならお惣菜作ろうと思ったけど、家に着くと急激な眠気に襲われる。

 やることばかりの毎日。たまにはしっかり休めということね。


 1回目のコロナ罹患は2022年8月のことで、当時は10日ほど休まなきゃならなかった。おかげでパートナーと毎日長電話できた。彼は緩和ケアに緊急入院されてた。

 お互い別々の夏空を見上げながら、徒然、喋る。離れて暮らしていて、あんなに毎日喋れることはそれまでほぼなかった。コロナになってなかったら、仕事中に心配するだけ。塩を盛る方向の先に南に渡る川の向こうをたまに見やりながら一日中ハラハラして仕事をしていた毎日にポンと訪れたほんの数日のことだった。思えばコロナが流行ってなかったらもう少しハラハラしてなかったかもしれない。機会があれば東京の娘含め、お互い全力で会ったけど、ただでさえ離れているのに、コロナ様の勢いを見ながら会うのを断念することもしばしばだった。

 病のことも死のことも、家族のことも、いろいろ不安もあったけど、お互いベッドの上ではどうしようもない。どうしようもない同志、お互いの声にお互いの心を感じながらの思いがけない緩やかな心穏やかな時間。

 実は、コロナとわかる前日に見舞っただけに自分が原因で彼を死にいたらすのではないかと動揺した。だから1日1日彼の声を確かめられるのはせめてもの恩恵だった。

 

 大丈夫だよ。ほら、僕は冷静だろう。

 

 彼はコロナにはならなかった。

 何言ってんの、脱水で緊急入院したくせに。水を飲むことの大切さもわかってないし管理できてないでしょう。

 と思う。そうじゃないかと思っていたけど、予想どおりってどうなの?

 その後、緩和ケアの手厚い看護の中で退院の自信がついたのか、退院してしまった。いつもこちらを驚かせる。こんな心地よいところでは死ねないとでも思ったか。毎日納得したいのね。手に取るようにわかる。そして今度は肋骨を折った。歩きたかったんだろう。ひとりでリハビリしたんでしょう。病院と違って物理的サポートがないのに。会いたかったのね、私たちに。それも手に取るようにわかった。その情熱がわかる。そしてそれならば、あなたの選択は理不尽ばかり。


 強いのか痛いのか。


 臨終まで本当に最後まで冷静だった?できるだけの機会をコロナの流行の強弱も見ながらお互い全力で会ったけど、最後は声さえ届けられなかった。

 彼の心中の覚悟を思う。

 あの頃のあなたの情熱がずっと心を鷲掴みにして私は自分に着地しそびれている。

 あなたがそんな他人には理不尽な人間だったってことの意味を、私は今からもわかろうとする旅をすることでしょう。


 のほほんのほほん


 得意の台詞。

 3回目のコロナでゴロゴロ。病気の時は休めよ。隣で、まぁええやないかと言っている。

 お腹空いた。


 初めてテレビショッピングで買い物をしてしまった。ひまだから?暑いから?

 

 ココヒエタワー


 定年延長に入りお給料の基準が安くなった。最近の節約モードがプチっと切れたみたい。


 まぁええやないか。