富士登山のイメージといえば、御来光と金剛杖。

金剛杖とは白木でできた棒状の、登ってる辛さを助けてくれる杖です。そう、ここはザレで足元が崩れることがあるため、あったほうがいいというより無いと困るもの。山小屋や土産店でも売っています。

僕はこの時ストックを持ってないし、山小屋でも金剛杖を買いませんでした。だから小さな歩幅で 30歩進んでは倒れそうになり止まる。そして息切れ。
止まっている間にも砂が崩れて 50cmぐらい落ちていったりして、バランスを取りながら踏ん張る。

結局なんとか宝永山には登れたのですが、降りるときに足の爪も割って、高山病にもなりました。

家に帰ってから調べて、すぐにアルミの伸縮タイプのストックを注文。
届いてからは毎日近くの公園で練習し、次からの山歩きでガンガン使ったのですが、これが実は裏目に出てしまった。
その最たるものが、昨年の 11月9日に行った上高地のフリーハイキングバスツアーです。

前日の 23時に新宿の都庁地下駐車場を出発したバスは、途中で時間調整をして朝 5時15分に大正池前に到着。まだ真っ暗な中をヘッドライトを照らしながら降りて、マイナス 3℃のトイレ前のベンチ近くで夜明けを待つ。
ベンチは凍っているので座ることができません。上半身の防寒はしていますが、いつもと違うのは登山用のズボンの下に防寒着代わりに、筋力をサポートするスポーツタイツを履いていたことです。


6時30分ごろやっと周りが見えるようになると、そこには岸辺に氷が張った大正池と、草木に付いた水滴が凍って朝日に照らされ、キラキラとイルミネーションのように輝く幻想的な景色が待っていた。

朝日の濃いオレンジに染まっていく山々。いつの間にかいた百人近いハイカーは、それに見とれて誰も動かないし何も言わない。ときどき感嘆の声が漏れるだけで、1時間近くも皆それを眺めていました。

その後、大正池から田代池、ウェストン碑、河童橋、岳沢湿原と進んでいくと、急に息が切れて歩けなくなってしまった。
上高地は平坦です。まだ朝の 9時30分過ぎで、疲れる時間ではないはずなのに。

これだと、ストックがあっても無くてもダメ。暑くても寒くてもダメ。坂道も平坦地もダメで、何をしてもダメ。まったく打つ手がありません。

1時間50分で着く宝永山の山頂 標高2,693m
宝永山のザレ道
初冬の大正池
田代池
ウェストン碑
河童橋
岳沢湿原