登山ガイドさんから
「この天候だと遭難してもヘリは飛ばないですね」

それはマズイ。

山頂を目指すのは無理なレベルから更に雨が強くなり、もう登山とかの問題では無くなってきました。

お天気なので誰も悪くないのだけれど、添乗員さんも登山ガイドさんも、このまま道の駅に寄って帰る程度だと時間も余るし申し訳ないと思ったのか、すぐ近くの三つの山に登る提案をしてきました。
乗鞍岳もよくあるように複数の山の総称で、乗鞍岳という山はありません。だからこんなときは、そういったこともアリかも。

みんな心配しながらもモヤモヤしていたので、とりあえず不参加の二人を残して雨具を着てバスから出発。歩きやすい階段状の登山道をゆっくりと登ると、たった 15分で標高 2761mの「魔王岳」の山頂である「魔王園地」に着きました。
僕がこれまで登った最高峰に、わずか 15分で到着。普通だったら山頂の達成感と景色を楽しむところですが、雨なので写真だけ撮ってすぐに下山。

同じような山が他に二つあるので、そっちも勧められましたが僕はバスでの待機を選びました。なぜならさっきより視界が悪くなり、もうどこに登っても変わらないような気がしたからです。
濡れたものをザックに入れていると山に向かったメンバーがすぐ戻ってきた。やはり危険と判断したみたいで、登山は中止になりました。

その後、バスターミナルでお土産を探してバスに戻ると、急に出発することになりました。
なぜならクラブツーリズムさんの本部からの指示で、上高地に向かうことになったからです。お客さんも全員納得し、ちょっと気持ちを切り替える。

上高地は松本駅に戻る途中の「安房トンネル」を出てから左折するルートで、畳平からは 90分ほどで到着します。今のお天気は薄曇りらしい。


30分ほど走ると雨雲を抜けたようで、道路も乾いていてバスは順調に高度を下げて進んで行きます。

たどり着いた上高地の大正池は少し濁っていたけれど、バスターミナルからすぐの「梓川」は、いつものようにほんのりエメラルドがかった清流で、その先に見えてきた「河童橋」と奥にそびえる穂高連峰を案内してくれる道しるべのように流れてきます。
ヨーロッパの山岳地帯を思わせる、いつまで観ても飽きのこない絵画のような美しく整った、まるで神様から授けられたごほうびのような奇跡の景色。

この景色をきっかけに山歩きを始める人がたくさんいます。そう、僕もその一人。

何度も訪れているはずなのに、いつものようにただただ満たされた気持ちで木製のベンチに腰かけて、時間が過ぎるのを忘れる幸せに浸っていました。
おそらくこれからも何度も何度も訪れて、そのたびに心に幸せをチャージしてくれる大切な場所です。

乗鞍岳登山の予定が上高地散策に変更。
でも、まあ悪くはない選択の気がした。

一つだけ気になったのは乗り物の乗車時間。
自宅から新宿までの往復を含めると、この日は合計 13時間近くもバスと電車に乗ったことになる。
青春 18切符を使ったみたいな長い乗車時間が、この日の最も疲れた原因のようでした。

魔王岳入口
山頂の魔王園地
上高地
河童橋
松本駅アルプス口