夜が明けて、朝風呂へ行く。
周囲を山に囲まれているのため、露天の風呂にも朝日が届かない。
あたりが陽射しを浴びて輝くのは、午前9時を過ぎてからだ。
「泡の湯」では、男女それぞれに内湯と露天風呂が用意されている。
そのほかにこの混浴露天風呂がある。
この混浴露天風呂を利用するカップルが、少なくない。
湯が白濁しているので、周囲の目を気にしなくて良いからだろう。
ぼくは昨晩は、この露天風呂を独占して気持ちの良い時間を過ごした。
朝風呂の後は、朝食だ。
ビールはもちろん気分だけ(ノンアルコール)。
可も無く不可もない朝食を食べながら、本日のプランを確認する。
まず、白骨温泉にほど近い駐車場にオートバイを置いて、バスもしくはタクシーで上高地に向かう。
上高地から松本まで走り、昼食は再び蕎麦。
それから松本城見学。
それでは準備をして、出発しよう。
上高地では、自家用車の乗り入れが禁止されている。
周辺に点在する駐車場に車やオートバイを置いて、タクシーもしくはバスを使う。
3人でタクシー乗ると、バスの料金差はほとんど無くなる。
4人ならば、バスよりもタクシーの方が安い。
ぼくたちは「茶嵐」という駐車場にオートバイを置いて、タクシーで大正池に向かった。
上高地で最初に出会うのが、この景色。
大正池。
奥行きのある風景が美しい。
上高地を訪れる観光客は、とても多い。
大型の観光バスが、次々に駐車場に入って来る。
時には駐車場からあふれ出して、路上で待機するバスもあるほどだ。
外国人観光客も多い。
タクシーの運転手は、中国、韓国、台湾、東南アジアの観光客が多いと言っていた。
落葉した森は、光が入って明るい。
葉を落とした木立ちは、静謐な美しさをたたえている。
良い森だ。
たまにツキノワグマが姿を見せるらしい。
上高地から松本へと流れ下る梓川。
上高地の景色に、この清流は欠かせない。
川の両岸には、遊歩道が整備されている。
河原の散策を楽しむ人たちもいる。
振り返ると、厚みを増した重そうな雲が広がっていた。
山の天候は変わりやすい。
帰り道、雨に降られるかも知れない(そしてその通りになる)。
この道路(国道158号)は、梓川をせき止めている奈川渡ダム の堤の上を走っている。
道路の左側が、梓湖。
そして右側は、高さ155メートルのコンクリートの崖。
崖の下を見下ろすと、発電所が見える。
このダムは、なかなか見応えがある。
梓川には3つのダムが設けられているが、一番上流にあるこの奈川渡ダムが一番大きい。
ダムマニアならずとも、一見の価値はある。
昼食は、とうじ蕎麦 。
柄のついたザルのような道具にひとまとまりの蕎麦を入れ、鍋の中で温める。
鍋の中では、長ネギ、油揚げ、しめじ、人参、鶏肉などが入った蕎麦つゆが温められている。
温かい蕎麦を蕎麦猪口に入れ、鍋の蕎麦つゆをかけて食べる。
豊かな滋味を感じさせてなかなか良い。
「とうじ」とは投じる意味だそうだ。
店の名前は野麦路 。
とうじ蕎麦は、野麦峠周辺の郷土料理らしい。
次は、松本の中心にある国宝松本城 。
これは凄い。
今からおよそ400年前に作られた、五重六階の巨大な木造建築物。
戦闘を目的に作られた城は、平時に作られた城とは異なる迫力がある。
城の高さは、およそ30メートル。
最上階の窓からは、遠くの山並みが見えた。
城の内部では、一方通行の順路が指定されている。
順路に従って列を作って前に進む。
混雑していると、展示資料をゆっくり見ることもできない。
それでも当時の築城術のレベルの高さが理解できる。
さまざまな展示物は、往時の雰囲気を伝えて楽しい。
およそ40分ほどで、城内を一周。
外に出ると、少し傾いた西日を浴びて城が輝いていた。
重要文化財である旧開智学校も見学しようと思ったが、すでに閉館時刻だった。
という訳で、本日の観光は終了。
ここから先は、高速道路を走るだけだ。
自宅までは300kmほど。渋滞がなければ、大した距離ではない。
ところが、上信越自動車道の佐久あたりから、土砂降りの雨が続く。
途中で小止みになったが、埼玉県に入ると再び叩きつけるような雨。
最後の最後に、試練の時が待っていた。
でも、楽しい2日間だった。
1200RTクラブのみなさま、御世話になりました。ありがとうございました。
(おわり)

