その日は来た


来て欲しくなくとも来る


5人は集まりそこで談笑し遊びカナの家に全員がとまった


遊んでる間に話しているのは女性3人とチハルの彼氏だけだ


オレは相槌打ってごまかしてるが


どうがんばってもテンション上がらないし


上の空ではっきり言って何したのかどこいったのか


今思い出せと言われても思い出せない


そんな状態のまま今に至るわけで


オレは寝れるわけもない 全員が寝るのを確認してから床をでた


ベランダにでて夜空を眺める夏の夜空、冬の夜空はよく見るが


秋の夜空をまじまじと見るのは初めてだったかもしれない


ボーっと見てると背後人が動く気配を感じる振り返るとチハルが後ろにいた


「どうかしたの?」


そう聞かれたがオレはこの心をありのまま話す勇気も


資格もないはずでソレをバカなりに理解しているつもりだから


「ちょっと寝れなくてね」


そんな気の利かない言葉しかいえなかった


その後数10分色々な事を話したが


取り留めの無い会話だったので記憶に無いが


素で笑顔になれたのはその頃では珍しい事だった


そのままチハルは眠い目をこすりながら話に付き合ってくれた


眠そうなのを察したオレが


「話つきあってくれてありがと、もう寝ときな」


というと


「そうするね、またゆっくり話そうね」


布団に入ると「おやすみなさい」といい 眠りに落ちていった


ただそれだけの事がそのときのオレには痛かった


2人だけだったらきっと・・・・・


そんな事を考えながらやはり朝まで寝れなかった


運命は抗う者に開ける物だと思っていた


でも初めて運命は決められているレールなのか?


とそう感じた一瞬でもあった 壊れそうだった


みんなの寝顔が幸せそうで


その分オレは不幸な気がして心が腐ってた


腐臭がしそうなオレ自体がチハルの傍にいる事が


行けない事のような気がしてベランダから星を見てた・・・


夜が明けた チハルと彼はそのままデートにでかけた


オレは何もできず朝日が攻め立てる中


開放されたスペースで腐り朽ち果てそうな体を


ただただ眠りに身を任せ泥のように眠った

後から聞いた話


カナが言うにはチハルの彼は関東の幹事だそうで


なかなかかっこよかったらしい


オレは見てるはずなんだが心がそこにはなかったから


覚えてるはずも無い


そんな夏失恋の(公じゃないので誰も知らないが)


痛手から2人への依存が激しく


夜の営みもそれにつれ熱くそして激しくなる


それでも悲しみは埋まらない


ずっと半年ほど引きずった感情は


ふがいない自分へと倍化してその代償をもとめる


オレは代償をはらうことなく2人に溺れる


何も変わらないがその実心の中だけは嵐の中


そんな秋絵美が飲み会を開くことを提案する


丁度チハルとその彼が遊ぶのにあわせて開催すると言う


オレはそれはきっと罰だと受け止め


そしてそれとは逆に会えるという喜びも感じていた


頭で人の物だとわかっていても


どうしようもなくソレがそばにあることがうれしいことがある


それが今チハルだったってだけで


いつでもだれでもそんな人や物はある


人間は欲の尽きない生き物なのだから・・・・


とにかく会うことに異議はない


オレがチハルを好きだし告白しようとしてた事すら


誰も知らないことでオレだけがその事実を認識しているのだから


会に対して異論をとなえたり行きたくないという人もいない


5人での飲み会はあっさりときまった


秋のとある日君と再会し痛みが再開する


それでも誰も知らな痛み誰も傷つけてないからそれでいいと思った

当日前回と同じく現地組はそのまま会場入り


関東勢のほうにも幹事がいるので関西勢の幹事も


さきにお店まできてメールであちらの幹事とやり取りしている


その間に絵美とカナとチハルが談笑している


聞き耳を立てていると男の話になっている


どんな男が好きか?と言う話だった


気になるからオレはずっとその話を聞いていた


そのときに写メを出してチハルが衝撃的な一言をいった


「これが彼氏、いまタイプはこんな感じ」


オレは聞いてはいけない事を聞いたが


それでも会は始まったばかりその上何も無いのに


急にテンション下がるのもおかしい


がんばってその場はしのいだが少しずつダメージがのしかかる


ダメージを消し去るかのように酒を飲む


結局言う前に失恋


その事がすごくショックでどうにもできなかった


行動も言動も押さえ込まないとどうにかなりそうで


浴びるように飲んだ一人誰にもいえない失恋の失意


その隙間がお酒でうまるわけもない


記憶が飛ぶほど飲んだ1次会でダウンし絵美とカナが


オレの間にはいり方を貸してくれたのは覚えてる


まっすぐに歩けなかったその後どうなったか覚えてない


目を覚ますとチハルからメールがきてた


気遣ってくれる文面が逆に痛い


二日酔いの頭痛とオレの隣で寝てる二人をみて


最低な気分になりながら2人を起こし


礼と侘びを入れて電車にのって自宅へ帰った


意を決したときに運命は自分の味方にはなってくれない


そのときばかりは自分の行為を棚に上げて


神への恨みだけが心にあった

その日は何も無い


そのままカナも絵美も送り返し


車を走らせ渓流沿いに進む


いつも夏になると子供の頃に遊んだ川原が懐かしくなる


今日は不意にそこへ行ってみたくなったんだ


車で行くと途中から歩きになる今思うとよくこんな山奥まで来たもんだ


そのまま川を眺め無心のままに時を過ごす


人の気配を感じ我に返った


あんなに幸せそうにしていてもいつかは崩れる


ならばオレが幸せにしてそして崩れるのも同じじゃないか?


オレならもっと幸せにしてあげれたかもしれない


そう重いながら不安定な心を乗せ車で家路についた


しかしその後もまだ絵美とカナとの関係は続く


チハルとのメールも続く


日に日にチハルの存在が大きくなる


今回の事で前回と違いオレの気1つで一気に変わるかもしれないからだ


だが悩む俺がこの状態で彼女を受け入れるわけにはいかないからだ


甘い時を好きなだけ味わって


オレ一人が罰をうけない罪ではないはず


その心だけがストッパーとなっていた


そのまま時は流れる6月~7月はチハルとのメールはとまっていた


気まずかったのもあるが両者とも忙しかった


忙しい故にあの2人ともあってなかった


7月にまた第三回OFF会の決定


今回また関西幹事はチハルと関東勢の人


なんか変な割り振りだとおもったのをおぼえている


OFF会が決まったとき


オレは密かに心に決めていた


チハルに告白し絵美とカナにそれを言う事を


2人にはきっと責められることはわかってはいたけど


本当に心が痛いくらい好きになっていたのである


他に何もいらないくらい


そう2人にどんなになじられても文句はないくらいに

不意の言葉に対する不意の言葉


そのせいで場は流れずにいたがチハルが察し続けた


「急にごめんね、今日こんな話するつもりなかったから・・・」


オレはそれを聞いてやっと自我を取り戻し


「オレが言わせた感じだ、悪かった」


「しかし何でまた・・・・」


チハルがその問いに答えた


「浮気されてたの それが我慢できなくてね」


そういって笑う顔が悲しい笑顔で


でもオレにはすごく美しく悲しい顔であるほど愛おしく感じた


「そうか・・・そういう風に見えなかったんだけど」


と言うと間髪いれず


「前のOFFのときにいた子に手を出してたの」


「私に気づかれてからゲームにも顔だしてないし」


そういわれてやっと内心気になってた事がわかった


ヤツはその子と付き合いだしバツが悪いので彼だけ


MMOをやめたらしい


オレは慰める言葉も無い


自分は2人相手に愛を語りどちらにするとも決めかねているのだから


きっとヤツよりオレは始末が悪い


そう思うとかける言葉もない・・・・


ただ沈黙だけがオレがチハルにできる優しさだったんだ