今日は、
シネマアンジェリカという渋谷マークシティの裏にある小さな映画館で
『だれのものでもないチェレ』という映画をみました。
とても印象に残る良い映画でした。
ストーリーは、
30年代初頭、ホルティ独裁政権下のハンガリー。孤児たちは養育費つきで養子に出され、少女チェレもある農家に引き取られていた。裸のまま働かされ、飢えや寒さ、大人たちの虐待に耐え続ける日々。ある日、チェレはとうとう家出をするが、すぐ孤児院に収容され、再び非情な養親に引き取られてしまう。そこで使用人として働く老人とともに馬小屋で暮らすチェレは、老人の優しさに、初めて心の交流を知る。だが、その先には、さらに過酷な運命が待ち受けていた・・・。
という内容でした。
まぁ一般的にいえば”親を亡くし意地悪な継母に引き取られ朝から晩まで働かされ..."
という誰でも一度はどこかで聞いたことのあるストーリーだと思います。
でもそういう聞いたことのある内容だからこそ
あえてそれを詳しく知ろうという人は少ないんじゃないかと思います。
この映画はそんな誰も今さら知ろうとしない現実を
一人でも多くに知ってもらおうという監督の思いが伝わってきます。
物語はチェレからの目線で進んでいきます
盗みをしたと言われ石炭で手を焼かれたとき、それを看病してもらったとき、
スリッパで頭を何百回もたたかれたとき、やさしくしてもらったとき
そんなチェレの日常を、そのなかでのチェレの感情の変化をとても繊細に表現しています。
チェレが人の暖かさに触れたときのとても幸せそうな顔がとても印象的でした。
さいきんのメディアは映画、ドラマ、そしてニュースまでもが
どれも商業的でまず最優先されることは、
こうしたら観客を飽きさせないんじゃないかとか、
こうしたらもっとわかりやすいんじゃないかとか、
こうしたらもっと盛り上がるんじゃないか、
こうしたらもっと感動的でドラマチックになるんじゃないか、
こうしたらもっと売れるんじゃないか、
そうやってどんどん現実を薄められて歪められていきます。
でもわかりやすければいいんでしょうか、
盛り上がればいいんでしょうか、そんな安っぽい感動で泣きたいですか?
私達が現実だと思って見ている世界は実は本当は何十倍にも
薄められて、歪められているんだと最近本当に実感します。
でもこの映画は何一つ隠すことのない本当の現実を映し出している映画です。
たしかにこの映画は友達と遊びに行くときや、
デートのときに見るような映画じゃないかもしれません。
でもこの映画のように本当の現実を伝えてくれる物の存在の大切さを
もっと多くの人に知ってもらいたいと思いました。
私はそういうものが本当にいいものだと思います。
そして、いいものっていうのは自分で探しに行かないと
見つけられないものなんだと思いました。