どうも、ハイレゾ音楽ユニットBeagle Kickで総合プロデュースを勤める橋爪徹です。音響エンジニアとして10年ほどセミプロで活動しており、主に音声を専門としています。最近は、ネット報道番組でミキサーを担当。
現在はオーディオライターとしても活動し、WEBや雑誌に原稿を執筆、イベントでも時々お仕事しています。(仕事履歴はBlog最新記事をご覧ください)
突然ですが、USBケーブルをオーディオ機器で使用されている人は、機材同梱のケーブルを使っているでしょうか。
DTMをしている人は、オーディオインターフェースとPCを繋ぐときに、普通に添付のケーブルを使っていないでしょうか。
普通はこんな一般的なケーブルを使いますよね。
それ、かなりもったいないかもしれません。
実は、USBケーブルをオーデイオグレードにすることで、機器の性能を引き出すことができるのです。
デジタルケーブルなのに、なぜ?と思うかもしれません。
USBケーブルで伝送したいのは0と1のデジタルデータですが、ケーブルの中を通っているのはあくまで電気です。電気はアナログ信号です。
PCの中はノイズがたくさん。USBケーブルを流れるのは前述の通り電気ですから、ノイズは当然乗ります。また空気中を漂う外来ノイズもケーブルの外から入ってきます。
結果として本来送りたいデジタルデータといっしょに送り先の機器(USB-DAC等)にはノイズが流れ込みます。
デジタルデータは正しく送れたとしても、ノイズが送り先の機器で悪影響を与えないといえるでしょうか。もちろんノー。音を悪くします。
だから、デジタルケーブルもアナログケーブルと同じくノイズ対策を重視しているのです。
また、振動対策も重要です。ケーブルが外部からの振動に弱い構造だと、ケーブルそのものが振動して、その振動が送り先の機器に伝わり、基板を振動させ、結果不要なノイズを生み出します。音が悪くなります。
ということはですよ。
USBケーブルを変えることで音が良くなることはない、というのが正確なのではないかと思うのです。
USBケーブルによって、音は悪くなっている。
できるだけUSBケーブルにおける悪影響を少なくしようというのが、オーディオ用USBケーブルが存在する理由だと言えるのではないでしょうか。
さて、ここまで読んで頂いた方、ありがとうございます。
オーディオ初心者の方にも少しでも理解いただけたら幸いです。
では、本題です。
私は、USBケーブルにアコースティックリバイブのUSB-1.0PLやR-AU1-PLを使っていました。
今回、フラグシップモデルのUSB-1.0PL-TripleCを導入しましたので、音質のレビューをしてみたいと思います。
まず外観。なんか不思議ですよね。
USBの端子部から先のケーブルが、2本です。先端の端子でまた収束するのですが、経路はずっと2本です。
これは電源ラインと信号ラインが完全に分離している構造のケーブルなのです。
電源ラインと信号ラインが一本に同居していると、電源ラインの輻射ノイズや磁界が信号ラインに悪影響を及ぼします。
アコースティックリバイブは、世界で初めて電源ラインと信号ラインを完全に分離したケーブルを作ったそうです。
一本のケーブルの中で電源ラインと信号ラインをシールドしてノイズの影響を抑える構造のケーブルは多くありますが、よりノイズ対策を追求した結果、物理的にケーブルを分けてしまうというのは思い切った感じがしますね!
使用している導体はオーデイオ専用導体のPC-Triple C単線。
絶縁材は、伝送スピードに優れるテフロン絶縁。シールドは、音色的癖のない銅箔シールド。
USB端子は、航空グレードのアルミ合金削り出しボディと贅沢な構成。
PC-Triple C単線導体のため、普通のUSBケーブルに比べて堅めです。
曲げ癖を付けてあげれば、ある程度方向は変えられますが、キツすぎると元に戻る力が働きます。
そのため、ギリギリの長さを買わずに、少し余裕を持って見積もるといいと思います。
長さ特注ももちろん可能です。私は、2mにしてもらいました。
レコーディング用(DAW用)にエントリーモデルのR-AU1-PLを使用している私は、オーディオ用にリファレンスになるUSBケーブルを検討していました。
前作であるUSB-1.0PLも持っていますが、1mの既製品だったため、どうしても長さ的に苦しかったのは事実です。
2mのUSB-1.0PL-TripleCによって、PCとUSB-DACの接続はもちろん、SoundgenicとUSB-DACとの接続も可能になりました。
では、早速音質のレビューをしていきましょう。
《試聴環境》
PC:Windows10
再生ソフトウェア:HQ Player 3 Desktop
USB-DAC:Pro iDSD
NAS:Soundgenic(SSD 1TBモデル)
普通のUSBケーブル
アコースティックリバイブのUSBケーブル
(ホワイトバランスをミスりまして、ちょっと全体的に赤みがかってます。)
普通のUSBケーブルは、それだけ聞くと「何がダメなの?」って思ってしまうでしょう。
私のようにオーディオ製品のレビューを仕事としてやっていると、何となく「あー、ここがダメだな」と分かるものですが、一般の方が聞いたらたぶん問題と思わないはずです。
今回のUSBケーブルもその通りでした。
単品で聴くと、「何が悪いの?」って言われそうな、それこそ何の問題も感じない音です。
しかし、USB-1.0PL-TripleCに変えたら、これは驚き!
まず、音の空間が広がりました。前後に深くなっています。特に奥の方に深まった印象です。
ハイレゾ音源を中心に再生しましたが、ハイレートならではのサウンドステージの広がりがしっかりと感じられました。
元のケーブルでは狭い空間に楽器がギュウギュウ詰めになって、曲によっては混濁したりしていたのが、すっきりと見通しが良くなったのです。
そして、楽器やボーカルのリアリティーが一気に高まったのも嬉しいポイント。
音色的な変化はほとんどありませんが、輪郭が克明に判るようになりましたね。
普通のUSBケーブルは、なんだか靄が掛かったようになっているのです。
例えるなら、霧の中を近づいてくる友人が最初は見えない。距離が狭まれば相手は誰だか分かるけど、表情とか、服の装飾とか、身につけてるアクセサリーの形までは分からない、そんな状態です。
USB-1.0PL-TripleCは、霧が晴れて適切な距離で楽器の音をハッキリと見る(聴く)ことができます。
靄が消えることで、耳で聞いた感覚的にですが、時間的な特性も良くなりました。
実際に時間解像度が上がった訳ではないと思うのですが、音が始まる瞬間が鋭敏になり、音が収束していくときもノロノロと遅れた感じだったのがスッと無駄なく終わる感覚です。
おかげで、リズムが早い楽曲では、聴いてるこっちがノリノリで楽しんじゃう、楽曲の意図まで本来の形に近づいたような変化でした。
ハイレゾだけじゃなくて、CDをFLACにリッピングした音源も聴いてみました。FLACですからデータ上はCDとまったく同じですね。
ドラマCDを再生してみると、声優のお芝居がやや平坦に感じられたのが、USB-1.0PL-TripleCでは強弱の表現がとても繊細で引き込まれました。
あくまでCDの音なので、ハイレゾ的な情報量の増加ではないのです。
しかし、スタジオで演じているときのお芝居を可能な限り再現する、本物らしさが明らかに向上していました。
声の芝居って、声の高低・強弱・緩急・間、そういった要素を巧みにコントロールすることで、声だけでも情景が伝わるように工夫されています。もちろん、気持ち(心)の表現が大事なのは言うまでもありませんが、こういった職人技をより正確に受け取るためにも、USBケーブルは有用なようです。(な、なんだってー!?)
マニアックになりますが、DSD音源も再生しました。初耳の方は、アナログ録音のようなデジタルデータと思ってください。
11.2MHzという現状最高位のフォーマットで録音された女性ボーカル。ピアノとギターのシンプルな構成です。
高域にちょっと気になる刺激成分がありました。数kHz付近がガサついている感じです。不自然なピークであり、長時間聴いていると疲れそうです。
それがUSB-1.0PL-TripleCに交換すると、完全に消え去っています。
余計な付帯音を排除する。アコースティックリバイブのケーブルは、すべてに同じ思想が貫かれていますね。
さて、いかがでしたでしょうか?
今回紹介したUSB-1.0PL-TripleCは、無料貸し出しも行っているので、「ホントに効果あるのかな?」と不安な方は是非試してみてください。
実際に納得してから購入できるというのは、試聴が難しいアクセサリーの世界において素晴らしい取り組みだと思います。
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