都会のど真ん中を車に乗って通り過ぎる。
駅前のスクランブル交差点はものすごい人だ。
もしかしたらこの中に知っている人がいるかもしれない。
偶然あの人がいたりして。
車内は煌煌と電気が点いているから、中からはもちろん外からも見える。
この中のどれくらいの人が車の中の私の存在に気づいているだろう。
「あ!」と私を見留めている知人がいるはずもなく、車は交差点を過ぎて行く。
もう今後一生会うこともなく、姿さえ見かけることがないかもしれない、だけど脳裏には強く焼きついている相手。
このまま平行線をたどるか、もしくは更に離れて行ってしまうのかもしれないが、
何故かある時ある瞬間、その人と接点があり、出会った。
とても楽しくてとても嬉しくて、ずっと続かないだろうかと思った接点だったが、こちらの意思とはうらはらに、あっという間に離れてしまって、もう接しない。
あの瞬間が、まさかその相手との最後だったとは・・・
その時はたぶん、お互いに誤解し、釈然としないまま別れてしまって、今、いろいろ告げたくて話しがしたくても、告げられない、話す事は叶わない。
やり直しはきかない過去。
これから過ぎ行く時間と会えないという距離が、その記憶も印象も薄めていって、今の思いも情熱もいつか忘れてしまうかもしれない。
第一、相手の記憶の中にこちらが残っているのかどうか。
だけど私はきっと、事あるごとに思い出してしまうのだろう。
その場所で、
似たエピソードで、
同じ名前を聞いて、
似た声で、
髪型で。