福島・宮城の旅 12 : 鶴井筒 & 東山温泉 | 旅中毒

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2016/8/14

 

家老屋敷の3周目に入らなかった理由の一つは、お昼ご飯をここで食べたかったから。鶴井筒。郷土料理屋さんです。入った時は16時に近くなっていました。

 

右側の玄関が家族や使用人が使っていた玄関。左側の玄関がお客様専用の玄関。

 

とにかく、この建物の中に入れるというのが興奮ものだし、中で会津の伝統料理をいただけるなんてまさに一石二鳥! 郷土料理セット、「会津の味丸かじり膳」をいただきました。

 

左の写真、手前はお蕎麦。奥は棒タラ煮とニシンの山椒漬け。右の写真は味噌田楽(厚揚げ)。

  

 

左の写真は具だくさんの汁「こづゆ」、右はデザートのお餅。きなことごま。

  

 

これに天ぷらをつけるコースもあったんだけど、天ぷらまで食べたらお腹がいっぱいになりすぎるかなーと思ってやめといた。でも、天ぷらって、お饅頭の天ぷらだったの! 食べてみれば良かったわ! ちなみに、お蕎麦は喜多方ラーメンに変更できます。

 

そうそう、こづゆ、お城の見学中に読んだわ。会津の武家料理なんだって。乾燥ホタテで出汁を取ったおつゆで、根菜やキノコ、シラタキ、麩などがどっさり入ってる。昔は宴席に呼ばれたら、お膳のお魚やら煮物やらのご馳走には手を付けなかったんだって。それは最後にお土産にいただいて持って帰るの。その代わりに、こづゆは食べ放題で、どれだけお代わりしても良かったんだって。

 

さてさて、この建物の方ですが、明治30年代に建てられた大地主のお屋敷だそうです。造り酒屋でもあったそうで。元は別の場所にあり、地主一家が手放した後は旅館として営業されていましたが、それが更に廃業して、今のオーナーが買い取って現在の場所に移築したんだって。

 

ここは私が食事をとった部屋。元はこのお屋敷の大広間で、32畳あります。


移築した時、地主一族のうちこの家に住んでいた最後の世代である男性(その頃80歳)が遊びに来たそうです。家の中をあちこち見て回って懐かしんでいたそうですが、この部屋だけは懐かしくないと言う。なぜか。それは、この部屋はお祝い事があった時など特別な時にしか使わなかったから。彼は住んでいた当時小さな子供でしたので、この広間に入ることも珍しく、馴染みのない部屋だから懐かしさを感じなかったそうなw 他の部屋以上に足をきれいに拭いてから上がらなきゃいけなかったとか、そういう面倒くさい部屋だったと記憶しているそうです。

 

ご当主はここで食事をしました。

 

んで、当主の家族はここで食事をしました。一段下がった板の間でね。

 

写真を撮ってないけど、土間を挟んでこの板の間の反対側に、もう一つ小さな板の間がある。さらに一段下がった低いその板の間にも囲炉裏があった。そっちは使用人たちが食事をする場所だったの。とにかく家の中で階級がきっちり分けられている。

 

この家を移築する際、作業を手伝ってくれた人の中に近隣の農家のおじいさんがいて、「昔は随分こちらのお屋敷にお世話になった。最後にもう一度だけお邪魔させていただけないか」と言うので、オーナーは「どうぞどうぞ、ご遠慮なく」と迎え入れたそうです。おじいさんは家の中に入ると、土間に正座して家の中をゆっくりと見渡し、「ありがとうございました」と頭を下げて帰ろうとする。びっくりしたオーナーは「えっ、どうぞ上がって見ていってください」と勧めたんだけど、おじいさんは「私は上げていただけるような身分じゃありません」と固辞し、帰っていったそうです。

 

こちらの階段を上がった2階には、家族の寝室など私室があった。立派な床の間のあるお部屋がリーフレットに載っていました。私は上がっていないけど、お願いしたら覗かせていただけたかしら…。

 

こっちの階段(これの斜め向かいに使用人用の囲炉裏があり、その奥が台所)を上がった2階と屋根裏は、昔の使用人たちが寝室に使っていた。昔は窓に鉄格子がはまっていたそうです。別に閉じ込めるためとかじゃなく、上下関係を示すためのものだったのでは、とのこと。

 

そんでね、この料理屋さんの面白いところなんですが、この2階と屋根裏が「ネパール博物館」になっているんですよ…。何なの突然。オーナーが個人的に何年もかけて買ってきた収集品を展示してあるの。楽器や武器、宗教関係の彫像や道具、服などの日用品などなど…。この2階にある階段を更に上がると…

 

…この屋根裏に。頭をぶつけないよう梁に緩衝材が巻き付けてあります。この屋根裏、めちゃくちゃ暑かった。使用人さんたちはこういうところで生活していたんだなあ。一番奥の仏像の前には見学者が置いて行ったらしいお賽銭が。博物館の運営に役立ててくださいというとこですか。

 

3階から見下ろした家族用の囲炉裏。

  

 

個人的に一番気に入った展示品はこの収納箱と呼び鈴(?)。

 

 

さて、会津とネパールを堪能した後は、さらに周遊バスに乗り込んで先へと進む。バスのルートマップを見ると終点に「東山温泉」とあるので、行ってみようじゃないか、と。武家屋敷がある場所が既に「会津若松の郊外」って感じで、広々してるんだけど、東山温泉まで来ると山の中なんだよね。川沿いに温泉街が広がっています。

 

もしうまくいけばここで一泊…などと考えておりましたが、観光案内所には「本日満室」との文字。当たり前か。こんなとこで泊まれたらどんなに楽しかっただろう…。

 

お盆だから、町の中心には櫓が組んであって、夜はお祭りになるらしかった。屋台も出ていたわ。せめてそれを見物してから帰れたら良かったんだけど、最終バスが結構早いんだよね。残念。

 

まあ、とにかくお風呂だけは入って帰りたい。てことで、観光案内所に入って、まずはバスの時間を確かめ、それから日帰り入浴をやってるとこを教えてもらいました。「大きいお風呂がいい? 小さいお風呂がいい?」と尋ねられ、あんまり大きいとこだと面白くないかなと思って小さいところを希望。すると案内所のお兄さん、「そうだなー、それだったら… あっ、ハイマートさーん! ハイマートさーん!」と案内所を飛び出していきました。何事。

 

目で追いますと、お兄さんは道路で何やら年配男性をつかまえて話している。戻ってきたお兄さんが言いますには、バス停のすぐ隣にあるホテルが「今の時間ならどうぞ」と言ってくれているとのこと。バスの時間を気にするなら、近いところがいいでしょ、と。このお兄さんもほんとに気が利いて親切でした。

 

泊り客が入浴するには早い時間だからか、最初は独り占めでした。後から窓からの景色も素敵!

  

 

最終バスで戻るつもりで、少し温泉街を歩こうかと思っていましたが、お風呂から上がってバス停に戻って飲み物を買ったところでバスが来ました。終バスから1本早いバス。乗っちゃいましたわ。だって、暑くて。せっかくお風呂で汗を流したのに、また汗をかいてしまう…。ドライヤーはなかったので髪が濡れたままだし、なんかもういろいろと不快指数が。しかし濡れ髪を背中に垂らして公共交通機関に乗るのって、どうなんでしょね。

 

会津若松駅で降りちゃうか、七日町まで行っちゃって街歩きをしちゃおうか、ちょっと迷っていたのですが、迷うまでもなくバスは会津若松駅が終着でした。時刻表にはもっと先まで行くように書いてあったんだけど、季節的なものですかね?

 

もともとの計画ではこの晩はどこか居酒屋にでも入って、地のものを食べさせてもらいながら一杯やりましょうと思っておりました。が、お昼ご飯が4時半だったのでさすがにまだお腹が空いていない…。てことで、さっさと宿に向かいました。

 

この晩も宿はネットカフェです。昨晩はお城に近い店舗でしたが、今晩は会津若松の駅に近い方。どっちも最寄り駅から歩いて20分くらいかな。この晩の店舗は隣がコンビニなのもありがたいね。ビールとつまみを買ってから入りました。

 

私の友人がネットカフェを全く知らなかったので、他にもそういう人がいるかもしれんと思って書きますが、多くのネットカフェにはフラットシートと呼ばれる、靴を脱いで上がれる板の間に絨毯敷きのブース席があります。寝る時は私はフラットシートが好き。んで、PC台の下に上半身を突っ込むと暗くてよく眠れる。枕代わりのクッションや毛布も無料で使える。店舗にもよりますが、たいていはシャワーもありますよ(別料金)。食事もできるし、最近じゃアルコールも出すのねえ(別料金)。ちなみに料金は12時間パックで2263円でした。ソフトドリンク飲み放題、ソフトクリーム食べ放題、マンガ読み放題、ネットやり放題で、横になって眠れてこの値段。やっぱネットカフェありがたいわあ。