以前に勤めていた会社では、
ネットから拾ってきた絵を壁紙に使っていました。
お気に入りの絵を次々に取り替えて独り絵画展状態。
同じテーマの絵を作者別に日替わりにしてみたり。
ジョン・キーツ
「美しいけれど無慈悲な乙女 (La Belle Dame Sans Merci)」
訳:壺齋散人
いかがなされた 鎧の騎士
ひとり青ざめ さまよわれるとは?
湖畔の草はことごとく枯れ
鳥の声もせぬというのに
いかがなされた 鎧の騎士
目は落ち窪み 悲痛な表情で?
リスは冬支度の餌をため
刈入れは終わったというのに
あなたの額はユリのように白く
苦悩のあまりに冷や汗がにじんでいる
あなたの頬も色あせたバラのように
血の気がうせてしまったようだ
(ウォーターハウス)
わたしはある婦人と草原で出会ったのだ
世にも美しく 妖精のような人
髪は長く 足元は軽やかに
瞳は野生の輝きをもっていた
わたしは花輪を編んで彼女の髪を飾り
香りに満ちたブレスレットを贈った
彼女は小さな声をたててわたしを見たが
わたしを愛しているようだった
わたしは彼女を馬に乗せて
一日中彼女を眺め歩いた
彼女はわたしのほうに身を向けながら
妖精の歌を歌うのだった
甘い木の根や蜂蜜やしずくを
彼女はわたしのために見つけてくれた
そして聞きなれぬ言葉でいうのだった
“あなたを心から愛しているわ”と
彼女はわたしを洞窟に導き
さめざめと泣いてはため息をついた
わたしは彼女の目に四回もキスし
彼女の瞳を閉じさせてあげた
(ディクシー)
彼女の歌に わたしは眠り
悲痛極まる夢をみた
最初で最後の奇怪な夢
寒々とした丘を舞台にした夢だ
夢の中の青ざめた王と王女たち
戦士たちが 絶望の叫びをあげた
“美しいけれど無慈悲な乙女が
わたしたちをとりこにした“と
彼らは乾いた唇を大きく開き
わたしに恐ろしい警告をしているのだった
わたしは驚いて目覚めると
寒々とした丘のほとりにいたのだった
それ故わたしはここにいるのだ
一人青ざめて さまよいながら
湖畔の草はことごとく枯れ
鳥の声もせぬというのに
はい、また著作権をめっさ侵害しました。
ああテート・ブリテンに行きたい。
なんでまだ行ってないんだろう。
このように私の独り絵画展はラファエル前派の画家たちが最も多く、
その次にミュシャが多かったのです。
そして、月岡芳年も使っていました。
本題はここからです。
その月岡芳年の絵なんですが、
たとえば、「道成寺」 で清姫が蛇と化す場面の絵を
使ったのです。
で、清姫の次に、「サロメ」 から
ビアズリーの 「踊り手の報酬」 を使いましたところ、
同僚 「どうしてこんな絵ばかり見てるの!?
どこか精神的におかしいんじゃないの!?」
どっちも有名な絵なんですが…。
これの次はモローのサロメの予定でしたが、
更にこの同僚を不快にさせるだろうと思いまして、
やめておきました。
そしてルドンの作品は全面的に自粛しました。
ルネ・ラリックの、植物や昆虫をモチーフにした作品のいくつかが
グロテスク趣味として有名だったり、
今の時代でも髑髏に薔薇の花の意匠は定番だったり、
この手のデザインは巷にはあふれていると思います。
月岡芳年にビアズリーにルドンにモローなんて、
知っている人なら吹き出してしまうくらい
わかりやすいラインナップでしょうけど…
…嫌いな人には受け付けられないのかもね。
そして今の今気づきましたが、
この記事に載せた絵の女性はすべて
美しくて怖ろしい女です。
そして、よく考えたら先月記事にした
「イザベルとバジルの鉢」 も…。
イザベルは恐ろしい女ではない、
純情でいじらしく健気な乙女ですが、
やってることはそれなりに怖い。
いやこれは、私がおかしいのじゃなくて、
キーツの趣味だと言うことで。
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