眩しい太陽に照らされた体は、バスタオル一枚巻かれているだけだった。
そしてその黒い大きな瞳は怯えたようにじっとこちらを見据えていた。
困惑した表情のままお互いしばらく見つめ合っていたが
先に口を開いたのは彼女だった。
「何か、食べる?」
しばらく少し驚いたような顔をして
そしてこくんと頷いた。
日本語通じるんだ・・・良かった・・・
彼女が食事の用意をしている間、彼はソファに座り
じっと彼女を見つめていたが、何も話さなかった。
ただじっと大きく綺麗な瞳で瞬きもせず見つめていた。
そして食事の間、一言も何も話さなかった。
フォークとナイフを使って食べる姿がとても美しく
今度は彼女がしばしその姿を見つめていた。
「食べ方、綺麗ね。」
彼は少し微笑み、眼を伏せた。
彼女は思った。
彼が何か話してくるまで何か聞くのはやめよう。
この空間が、この時間が、何故だかとても心地よい。
必要ならば何か話すだろうし、今の私にはどうでもいい事。
なすがままにしていよう。
「ごちそうさま」
一言だけ彼は言った。
その声は思ったより高く綺麗で、一瞬もう一度聞きたいと思った。
食事の後、彼は眠そうに眼をこすり、
またソファにばたっと倒れて眠ってしまった。
裸ってわけにもいかないわよね・・・
寝ている間に何か着るもの買ってこようかしら・・・
彼女は久しぶりにすこしワクワクした気持ちになっていた。
彼女は街まで買い物へ行き、少し多めの食材と
男性ものの服を何枚か買った。
その少しワクワクした気持ちは
子犬を拾ってきた子供の頃の気持ちに少し似ていた。
学校から帰ると家で待っている子犬。
ただただ、飼い主の事だけを考えて
会うことだけを考えて待っていてくれる。
そんな事を考えながら彼の事を思い浮かべた。
なんか、子犬に似てるわ
そしてくすっと笑いながら家路に向かった。



