自己責任論だけで大丈夫?【2014年7月号】 | いおく美里です!

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前県議会議員のいおく美里です!

■生活保護受給世帯最大
生活保護制度は、戦後混乱期である昭和25年に創設され、
翌26年にこれまでの最大数を記録しました。

しかし3年前それを初めて上回り、
昨年も人数を更新。
今年も最大を更新することが予想されています。

■就労可能な受給者の急増
高齢世帯、母子世帯、障害のある方の世帯の保護率も増加していますが、
群を抜いて増加しているのが、
「その他世帯」です。

奈良県でも5年前には952件でしたが、
今年は1921件と、
この5年で2倍に増加しています。

もちろん働く事が出来る人は、
働き生活保護から自立できるようになる事が良い事は言うまでもありません。
自立支援は本来、各市の福祉事務所が行う事となっています。

しかし、これまでの手法だけでは十分ではありません。

■貧困の連鎖
 一つ、重要な点は教育面でのサポートです。
2007年の調査で、生活保護を受ける世帯主の25%は、
自ら育った家庭も生活保護世帯である事が分かりました。

「貧困が連鎖」し、「貧困の世代間継承」が行われている。
また、「貧困の世代間継承」は、
母子世帯では4割に達し、
生活保護世帯の世帯主の学歴は中卒か高校中退が73%を占めている事が分かりました。

進学だけが人生の選択肢ではない、
けれども就職や資格試験を受ける時に高校卒業の資格が必要なものが多い。
教育は、連鎖を断ち切る事ができる有力な手段です。

■埼玉県「アスポート事業」
 埼玉県では昨年、全国で先駆けて、
県が事業主体となり、
生活保護受給世帯に向けて「アスポート事業」という
就労・教育・住宅をトータルでサポートする事業が開始されました。

教育支援では、
民間団体と連携して特別養護老人ホームの一室を借り、
大学生がボランティアで子どもに勉強を教えるという事業が行われています。

参加した子どもたちの高校進学率は10ポイント上回り、
通常の高校進学率とほぼ同じに。

子どもたちの学力が向上し、
大学生も社会に貢献している事を感じ、
さらに夢と希望を持つ事で生活保護受給者が減るという一石三鳥を目指す事業です。

「学校と親」というこれまで、
教育の担い手だけではなく、
県と社会福祉法人、学校法人、NPOや民間企業等の
民間団体と連携を取りながら行われています。

■自己責任論でいいか?
2009年北九州市の39歳の男性が自宅で餓死。

彼の遺体の隣には、「たすけて」と書かれた手紙。

彼は生活保護を受給していませんでした。
これを契機にクローズアップ現代で一つの番組が作成されました。

「自己責任の呪縛」の中で、行政のサポートを受けることも出来ず、

親・親戚に援助も頼めない。
「助けて」と言えない30代の姿が紹介されました。
埼玉県の様にサポートが必要な人に、
これまでの縦割りを超えて提供する努力や工夫を奈良県も行わねばなりません。

そして同時にサポートが必要な方が、
助けを求める事が出来る社会を作っていくべきであると考えます。