東京国立近代美術館で開催中の「所蔵作品展 MOMATコレクション」でこれは、と思う作品、《南風》の主観レビューをお届けします。
画面には、力強い南風が吹く海辺で働く男性たちが描かれています。
遭難という緊迫した場面を描いているにも関わらず、中央人物の垂直線や地平線の水平線が強調されています。
また、人物は中央を軸に左右と手前に配置され、安定した三角形構図を形成しています。
そのため、激しい混乱や恐怖よりも、自然の脅威に対して落ち着いて立ち向かう人間の力強さや冷静さが強く感じられます。
そして、風そのものは衣服や布のはためきによって強く表現されている一方で、人物の姿勢は崩れていません。
この対比によって、「自然の猛威」と「それに立ち向かう人間の精神力」が強調されている、と読むこともできます。
和田三造(1907)《南風》東京国立近代美術館
