三菱一号館美術館で開催中の「“カフェ“に集う芸術家ー印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで」展でこれは、と思う作品、《ジスモンダ》の主観レビューをお届けします。
本作は、パリの劇場で上演された演劇『ジスモンダ』のために制作された大型ポスターで、ミュシャを一躍有名にした出世作として知られています。
サラ・ベルナールは身体の軸がぶれず、堂々と立っています。
また、足元まで続く縦長構図によって威厳や存在感が強調されます。
一方で、正面像よりも内省的で神秘的な印象を与える横顔で描かれています。
視線を観客に向けないことで、優雅さや気品が強調されます。
さらに、植物文様や曲線装飾により、柔らかさ、優美さ、生命力を感じさせます。
衣装や花冠も女性らしい繊細な美しさを演出しています。
これらを総合すると、垂直線によって表現される威厳・自立性と曲線や装飾によって表現される優雅さ・繊細さが同時に存在していると読めます。
まとめると以下のようになります。
《ジスモンダ》では、人物のまっすぐな立ち姿と縦長の画面構成によって威厳や精神的な強さが表現されている。
一方で、横顔の表現や植物的な曲線装飾は優雅さや繊細さを感じさせる。
これらの要素から、本作の女性像は強さと女性的な美しさを兼ね備えた存在として描かれていると考えられる。
アルフォンス・ミュシャ(1894)《ジスモンダ》京都工芸繊維大学美術工芸資料館

