《森》@チュルリョーニス展 主観レビュー | パラレル

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国立西洋美術館で開催中の「チュルリョーニス展 内なる星図」でこれは、と思う作品、《森》の主観レビューをお届けします。

本作の最大の特徴は、山の形がはっきり固定されていないことです。

巨大な山塊が描かれているように見える一方、波や雲、あるいは「横顔のような形」にも見えます。

つまり、単なる風景ではなく、多義的で変化するイメージとして描かれています。

 

森は水平線が目立ち、静かな印象を受けますが、山は曲線が多く、まるで動いているかのようです。

これは、風景の違いではなく、「静的な世界」と「動的な世界」の対比として読めます。

また、山の輪郭が揺らぐように描かれているため、「固体」ではなく、変化し続ける存在として感じられます。

 

色彩も暖色と寒色で対立し、性質の違いが際立ちます。

色彩の対立は、異なる次元・異なる性質の世界の衝突として読めます。

 

今いる世界とは異なる、未知の領域を表しているように感じられ、自然に対する畏怖があるように思われます。

本作には人物がおらず、スケールが圧倒的であり、形が不安定です。

「美しい」だけでなく、理解できないものへの恐れや畏敬が含まれています。

 

また、森から山へ視線が導かれる構造であるとも言えます。

つまり、人間の世界から超越的な世界への移行を描いているとも考えられます。

チュルリョーニス(1906)《山》国立M.K.チュルリョーニス美術館