ヤオコー川越美術館で開催中の「三栖右嗣 あまねく降り注がれる陽光と慈しむ画家の眼差し」展でこれは、と思う作品、《沖縄の海》の主観レビューをお届けします。
浅瀬の海底まで見えるほどの透明感が、繊細な色の重なりで表現されています。
青・緑・砂色が混ざり合い、「沖縄特有の光」を感じさせる点が特徴です。
地平線の水平線、浜辺と舟の斜線により、静と動の対比が感じられます。
この組み合わせによって、画面には潜在的な運動感が生まれています。
しかし、舟は無人であり、静止しています。
つまり、「動くはずのものが動かない」という状態が生まれています。
これは、“動の不在“による静けさの強調と読むことができます。
動くはずの舟。
しかし、動かない。
そこに過去の動きが残っているとも捉えることができます。
つまり、時間の層を感じさせる表現と言えます。
また、本作には補色が用いられていません。
そのため、強いコントラストが生まれず、視覚的な緊張が弱い。
ですので、穏やかで持続的な鑑賞体験ができます。
三栖右嗣《沖縄の海》ヤオコー川越美術館

