松岡美術館で開催中の「笑い滴る 春と夏の日本画名品選」展でこれは、と思う作品、《夏之山》の主観レビューをお届けします。
幾重にも連なる山々が連なる山々が奥へ奥へと広がる構図になっています。
手前の山から中景、遠景へと視線が導かれ、下部には細い渓流が流れ込むことで、自然のスケール感と奥行きが強調されています。
同じような山、筆致が続き、装飾的です。
その中で、他と異なる点は、左中景の白い箇所。
これは、霞・霧、光の差し込み、空気の層の要素が重なっていると考えられます。
ですので、夏の強い日差しが山肌や空気に反射している表現と見ることができます。
本作は、視覚的に均質になりやすい構造です。
そこで、白い箇所を入れることで、視線の焦点を作る、単調さを破る、空間に変化と呼吸を与える、という効果が生まれます。
つまりこの白は、「自然の描写」であると同時に「画面上のアクセント」でもあります。
「夏らしさ」という点でも重要です。
この箇所は、光を含んだ空気の層に見えるため、「夏の日差し」「爽やかさ」「開放感」を強める役割を果たしていると考えられます。
寺崎廣業(1916)《夏之山》松岡美術館

