冬、そして春へ―「華やぎ」と「侘び」の調/圏外の眼―伊奈英次の写真世界 | パラレル

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荏原 畠山美術館で開催中の「冬、そして春へー「華やぎ」と「侘び」の調/圏外の眼ー伊奈英次の写真世界」展へ行って来ました。

本展は、新春の季節感を美術の視点で味わえる特別展です。

同館の所蔵する優品が、日本の伝統美意識の二つの極ー華やぎと侘びーを軸に展示されており、季節の移ろいと日本文化の繊細な美意識が重層的に楽しめる企画となっています。

 

本館では、茶道具や墨跡、落ち着いた色調の工芸作品が紹介されています。

楽茶碗など、簡素でありながら深い存在感を放つ作品が多く、派手さはありませんが、じっと見ていると心が落ち着いてきます。

使い込まれた名碗や、静謐な趣を湛えた墨跡が、研ぎ澄まされた空気を作り出しています。

 

続く新館では、唐織など、格式と華やかさを備えた作品や、吉祥文様や吉兆を象徴する意匠が展示され、色彩と装飾性が前面に出てきます。

ここでは、「華やぎ」が単なる豪華さではなく、人の願いや祝意をかたちにした美として提示されています。

 

また、草花や柔らかい色調の工芸作品など、冬から春への移行をテーマにした作品も展示されています。

ここでは、はっきりとした春ではなく、「まだ寒さの残る中に感じる春の予感」が表現されています。

 

また、新館地下1階では、「圏外の眼ー伊奈英次の写真世界」が同時開催されています。

効率や情報からこぼれ落ちたもの、見過ごされそうな風景など、意味づけされる前の世界を、そのまま受け止めた写真が紹介されています。

 

それは、見る側が意味を探そうとした瞬間に、初めて立ち上がる写真でもあります。

派手な主張をしない、見る側の感受性に委ねるという点で、「冬、そして春へ」展と共通点を見出せます。

 

冬の沈黙があるからこそ春が映え、簡素があるからこそ華やかさが生きる。

そんな、静かで知的な展覧会へ行ってみませんか。

 

 

 

会期:前期:2026年1月17日(土)〜2月15日(日)

       後期:2026年2月17日(火)〜3月22日(日)

会場:荏原 畠山美術館

       〒108-0071 東京都港区白金台2-20-12

開館時間:午前10時〜午後4時半(入館は午後4時まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌日閉館)

主催:荏原 畠山美術館

協力:東京綜合写真専門学校、ギャラリー・アートアンリミテッド