髙田安規子・政子Perspectives この世界の捉え方 | パラレル

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資生堂ギャラリーで開催中の「髙田安規子・政子Perspectives この世界の捉え方」展へ行って来ました。


髙田安規子・政子は、一卵性双子のユニットで活動するアーティストです。

身近な素材を用い、空間や時間の「スケール」をテーマに制作。

作品は、数学や物理学的アイデアを背景に繊細な手仕事や緻密な構成で生み出され、アートと科学を融合させた独自の感性により表現されます。

 

2人は2024年、資生堂の文化施設である資生堂企業資料館、資生堂アートハウスの両施設(静岡県掛川市)を訪れ、資生堂の社名の由来である易経の一節「至哉坤元 万物資生」(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか。すべてのものは、ここから生まれる)に出会いました。

自分たちの自然観と重なり合うことから、本展では、「万物資生」の考えを起点に、生命やその成り立ち、進化の歴史を時間の層として描き出しながら、自然の法則で宇宙までつながる時空間を、スケールとともに巨視的・微視的に捉え可視化することを試みています。

 

展示室入口では、15世紀のイギリスの物理学者ウィリアム・ギルバートが「地球は大きな磁石である」と提唱したことに着想を得た《Magnetic field》が展示されています。

地球・木星・土星の図像の上に砂鉄を撒き、それぞれ北極と南極の裏にS極とN極の位置に対応するように磁石を設置してあります。

砂鉄が描く磁力線のパターンによって、磁場の様子が視覚的に確認することができます。


髙田安規子・政子《Magnetic field (Jupiter/Saturn)》(2020年) 、髙田安規子・政子Magnetic field (Jupiter/Saturn)》(2020年)

 

階段を降りると、時間の可視化を試みたという《Timepiece》が設置されています。

ホモ・サピエンスが登場したといわれる20〜40万年前からの時間を砂・石・岩の重さに置き換えて構成しています。

割れた砂時計からこぼれ出たすなは、時間そのものについて考えさせられると同時に受け継がれていく生命、あるいは終焉を思い起こさせます。


髙田安規子・政子《Timepiece》(2025年)

 

同ギャラリーの特徴である吹き抜けを使用した《Strata》は、約500冊の本を積み重ね、それを地層に見立てた大型インスタレーションです。

本の隙間には鉱石や化石が挟み込まれています。

「知の集積(本)」と「時間の集積(地層)」を重ね合わせ、下から見ると圧倒的な時間の重みを感じます。


髙田安規子・政子《Strata》(2025年)


髙田安規子・政子《Strata》(部分、2025年)


髙田安規子・政子《Strata》(部分、2025年)

 

本展は、「世界は捉え方ひとつで、いかようにも変えられる」ということを気付かせてくれます。

忙しい日常で凝り固まった視点をほぐし、マクロな宇宙視点とミクロな観察眼の両方を取り戻させてくれる展覧会です。

 

 

 

会期:2025年8月26日(火)〜12月7日(日)

会場:資生堂ギャラリー

   〒104-0061 東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階

開館時間:平日 11:00〜19:00

     日祝 11:00〜18:00

休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日にあたる場合も休館)

主催:株式会社 資生堂