3月12日、原発に引き返した人 2 | 浪江のニガヨモギ

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福島第一原発から10キロにある実家を離れ…

3月12日の未明

「家族がいる人は、今は、原発に戻れないでしょうから、

俺は戻ります」

そう言って、ある原発作業員の方は

福島第一原発に戻っていきました。



避難先で、その作業員を見送った別の同僚は

さらに遠く、県外へと、家族・一族を率いて避難しました。



大事なことは、

戻った人も、家族を連れて避難した人も、

「かなりヤバい状況だ」

とわかっていたこと。



事故原発内部で、多少まじめに働いていた人は、

その数字が、その状況が何を示すかよくわかっています。



一言でいえば、絶望的。



だから、逃げた作業員を責められないし、

引き返した作業員を称賛できるかというと、

何とも言えないですね。

ただ、同僚たちと連絡を取り合う中で、

「守るべきものがある人は原発に戻れない。

嫁、子、親もいない自分は、行かなくては。」

と思ったのでしょう。


うーん、

やっぱり、称賛したくないなあ。



例えば現金で保証金5000万積まれて、

「家族の面倒は国が責任を持つ!」

というなら、いいですけど、

何の保証もなく、死ぬかもしれないところで働く人がいっぱいいた

そして、将来、放射線障害で死ぬかもしれない人がいっぱいいる

そういう現状では

称賛したくない。

TVドラマとかになって欲しくないですね。



東京消防庁とか、自衛隊とか、

遺族補償がありそうな組織ならいいですけど



福島第一原発の作業員たちは、

5次下請けとか、6次下請けとかそういう人が多いので、

補償なんてあるわけもなく

仮に補償があったとしても、5回も6回もピンハネされた額を

もらえるに過ぎないので



死んだら、

犬死だと思います。