迎   春

 

  ご無沙汰しています。〈戦争〉の年でした。

アメリカ人による告発2つ。

 その1;〈チャーリーはこの新しいアメリカを憎ん

でいた。― 貧困層と富裕層の格差が・・・どんどん

広がっていくアメリカ、(中略)政治家たちが国民に

国旗に対して忠誠を誓わせたがる一方で・・勇気ある

行動をとり血を流した兵士に建物の軒先や…下水溝

で雨露をしのがせて平気な顔をしているアメリカ。

忌わしいアメリカ。〉

 (S,グリーンリーフ、探偵ジョン・タナー・シリーズ

中の最高傑作といわれる『匿名原稿Book Case,1991年』

より引用)

 

 その2:〈他人の犯罪に目をつけるのはたやすい。

東京にいて『アメリカ人はなんてひどいことをする

んだ』といっているの簡単です。日本の人たちが今

しなければならないのは、東京を見ること、鏡を覗い

てみることです。そうなるとそれほど安閑としては

いられないのではないですか。〉

 (N,チョムスキー『メディア・コントロール、2003年』

辺見庸によるインタビューより引用)

 『匿名原稿』では〈謎解き〉の鍵となっている「若草

物語」を久しぶりに娘と共に読み返しながら、安閑と

していられないかもしれない東京のお正月を迎える

つもりです。

 

                2004年 新 春