12  空三題

 

 うらうらと 照れる春日に 雲雀上がり 心情悲しも ひとりし想へば

                                  家持

                 *

 

不来方の お城の草に 寝ころびて 空に吸われし十五の心

                              啄木

 

                 * 

 空の青さを見つめていると

 私に帰るところがあるような気がする

 だが雲を通ってきた明るさは

 もはや空へは帰っていかない

               俊太郎『六十二のソネット』 41冒頭