迎   春

 

        御無沙汰している内に1999年。今年は私の大好

        きなフランスの作曲家F,プーランクの生誕100

        年。わが国でも近頃よく演奏されはするものの

        彼がじかに学んだサティに比べるとファンは少

        ないままなので、この節目の年にちょっと紹介。

 

        《オペラ全体の幕が降ろされたとき・・・聴衆は、

        最初はしずまりかえっているだけだった。やが

        て、わたしがこれまでほとんど耳にしたことが

        ないほどの猛烈な喝采がどっとばかりに湧き起

        こった。それはスリリングで高貴な体験だった。

        人間であることが誇らしく思えたほどだ。》

          (『音楽の出会いとよろこび』 D,キーン)

 

        引用は高名な日本文学研究科キーンさんが、プ

        ーランクのオペラ《カルメル派修道女の対話》

        のN,Y,メトロポリタン歌劇場での初演に足を

        運んだ時の感想。欧米風にいえば、20世紀最後

        の年に、親愛で、メランコリックな「わが友」プ

        ーランクの曲とよかったらどうか友だちになっ

        て下さい。本年も宜しくお願い致します。

 

                    1999年新春