お酒で日本列島をめぐる旅。6回目は山形県。


山形の日本酒は、蔵元数も多く、バリーエーションに富んだ米の旨味とキレの良い後味が特色です。「吟醸王国 山形」と呼ばれるほど吟醸酒造りが盛んです。

「令和4酒造年度 全国新酒鑑評会」で山形県の日本酒は、都道府県別の「金賞受賞数第1位」に輝きました。1位山形県の受賞数は20点。


山形県の代表的なお酒をいくつかご紹介


【上喜元(じょうきげん)】

「上喜元」を製造する酒田酒造は、戦後間もない昭和22年、地域にあった5つの蔵が合併して誕生。米どころである酒田市にあって、現在、唯一残る蔵元です。

上喜元という印象的な名前の由来は「酒は人のかたわらにあって喜びをさらに喚起するもの。このお酒を飲めば誰もが上機嫌になるように」という願いを込めてつけられたそうです。

吟醸造りの経験と技術が活かされた「上喜元」のおいしさは、日本酒品評会などでの数々の受賞によって証明されていて、「全国新酒品評会」では金賞の常連です。



【初孫(はつまご)】

「初孫」というユニークな名前で知られる日本酒は、「生酛(きもと)造り」という伝統技法によって醸された日本酒。

「初孫」は、山形県酒田市の蔵元、東北銘醸が醸す山形を代表する地酒です。酒田市は最上川の河口にあり、その最上川が作り出した庄内平野は日本有数の米どころとして知られる地域。

昭和の初め頃、当時の当主に長男が誕生したのを機に、「皆に愛され喜ばれる酒にしたい」との願いを込めて、酒名を「初孫」とし、その名前に込めた願いのとおり、初孫の誕生祝いをはじめ、お祝いごとなどの贈り物としても人気を集めており、「縁起のいいお酒」として全国的な知名度を誇ります。



【ばくれん】

「ばくれん」を手掛けるのは、明治8年以来の歴史をもつ亀の井酒造です。昭和末期頃から「くどき上手」という銘柄で首都圏などにも出荷。豊かな吟醸香と繊細な飲み口で人気となり、全国区の酒となりました。

「くどき上手」に次いで世に送り出したのが、辛口好みの日本酒ファンをうならせる「ばくれん」でした。
「ばくれん」とは聞き慣れない言葉ですが、山形弁で「すれっからしの女」とか「親のいうことを聞かずに好き勝手している女」という意味なのだとか。

「ばくれん」は超辛口の酒として知られています。甘辛度合いを示す「日本酒度」で、プラスだとその限界は20前後とされています。「ばくれん」の日本酒度はプラス20ですから、まさに辛さの限界に挑戦した銘柄。



【東光(とうこう)】

「東光」は、安土桃山時代に創業した、山形県でも有数の老舗蔵、小嶋総本店が醸す日本酒。江戸時代に何度か「禁酒令」が出された時にも、米沢城主である上杉家の御用酒屋として、特別に酒造りを許されていた数少ない造り酒屋のひとつといわれています。

良質な酒を造るために、原料となる米作りから妥協しない。東光は「日本酒の命は米と水」という当たり前のことを実感できる日本酒。

「東光」がめざしているのは「1日の終わりに飲んで、心をほぐす晩酌の酒」。毎日飲むものだからこそ、おいしい酒を提供したいという信念のもと、食事と一緒にたのしめる酒であることを大切にしています。