人はオギャーと息を吐いて生まれ、息を吸って引きとるそうです。
誰もが〝その時〟を安らかに迎えたいと思っていますが、どうやったら〝その時〟にソフトランディングできるか!
医師の萬田緑平さんは外科医を17年間やってから在宅緩和ケア医へシフトしました。
当時、家に居たい、治療したくないという人を支える医者はほとんどいなかったのでやった事のない分野へ飛び込んだそうです。
病気になっても痛みや辛さが無ければ、死の直前まで自ら選んだ生活を貫くことができます。
そのためには、ガンなど痛みを伴う病気には積極的に医療用麻薬を処方して、痛くないようにして寿命を目一杯使ってもらう。
医療用麻薬についてほとんどの人は、「医療用麻薬が効かなくなる」「おかしくなる」「依存症になる」「最後に痛みが取れない」などの誤解をしていると言います。
基本的には増やす時に副作用がでるのでゆっくりゆっくり増やしていくそうです。
体が弱っていくいちばんの要因は痛みなので、モルヒネが怖いという人たちが、まだいいんだと我慢してる時間にだんだん弱っていき、どんどん生命を縮めている。
「余命数日となってしまった時、孫や子どもや家族に『おじいちゃん、ありがとう、大好きだよ』と言ってあげないとダメだよ。ガンバレ、ガンバレじゃかわいそうだよ、今までずっと頑張ってきたのにまだ頑張れなの?」と萬田さんは言っているそうです。
「ありがとう」ってみんなで言ってあげると、みんな確実に「いい人生だった」って言う。
いい人生だったっていう状態で亡くなっていくのと、そんなんじゃダメだガンバレって言われながら亡くなっていくのでは天国と地獄の差がそこで生まれいく。
子どもや孫に死に様を見せるのが、おじいちゃんおばあちゃんの最後の仕事。
死ぬってこういう事だっていうのをちゃんと子どもに見せる。それを知っている子どもと知らない子どもじゃ全然違う。
死ぬのを待つのじゃなくて、孫に死ぬ姿をみせなきゃいけない。
そして死ぬまでちゃんと格好つけなきゃいけない。死ぬ前日まで「おじいちゃんが死んじゃう」と孫が言っても、痛みや辛さがなければ「大丈夫だよ」って言って格好つけられる。
萬田さんが在宅緩和ケアで目指す患者の最後とは
「やっぱり死ぬ時に『ああ いい人生だった』と本人が言って、それを支えることが出来たって家族が満足して晴々しく亡くなっていく、人生成功で終わる。
医療にとって死は失敗だけど、家族からは死んだときに『ありがとうございました』と言ってもらえるいい仕事だと思っている」と語ってました!