みなさんは「メメント・モリ」や「カルペ・ディエム」という言葉を聞いたことがありますか?


私は最近知りました。


メメント・モリ(memento mori)は、ラテン語の句で「いつか必ず来る死を忘れるな」という意味です。わたしたちはいつか絶対に死ぬんですよ、と驚告してくれる言葉。


そのいつかは、100歳の誕生日を過ぎたときかもしれないし、明日かもしれません。

いつかはわからないけど、確実にわかっているのは、わたしたちは絶対に死ぬということ。


「メメント・モリ」のフレーズをヨーロッパの人々が口にするようになった背景には、14世紀中盤にヨーロッパで大流行した黒死病(ペスト)があります。


人間が身分や性別や年齢に関係なく突然あっけなく死んでいくのを目撃し、「死」が誰にでも平等にやってくるのを目の当たりにして、もしかしたら自分も死ぬのかもしれない、と思い、人々は「メメント・モリ」「死を忘れるな」という驚句を心に刻みました。


もう一つ覚えておきたいのが「カルペ・ディエム(carpediem) 」です。

カルペ・ディエムの意味は「その日を摘め」。


カルペ・ディエムは、古代ローマ時代、紀元前1世紀頃の詩人・ホラティウスの『歌集』

(Carmina) に登場するフレーズです。


「明日のことはできるだけ信用せず、その日の花を摘め」

ホラティウスは、この詩全体で、わたしたちがいつどのように死ぬかは神のみが知ることなので、それを知ろうともがくよりも、どのような死でも受け入れる覚悟でいること、そして、短い人生の中の未来に希望を求めて生きるよりも、一日一日を充実させて生きていく方が賢明であると歌っています。


ヨーロッパの絵画には、花や果物などの静物画に骸骨がよく登場するそうです。

たとえば、フィリップ・ド・シャンパーニュの『ヴァニタス』には、一輪挿しのチューリップの横に骸骨、そして砂時計が描かれています。



描かれているものにはそれぞれに意味があります。


まず、花は「Life(人生、命)」を表しています。

真ん中の骸骨は「Death(死)」、

そして砂時計は「Time(時、人生に与えられた時間)」を示しています。


この絵は、今美しい盛りの良い時間を過ごしている人にも、死は必ずやってくるので、時間は限られている、ということをわたしたちに伝えてくれています。


絵の中の砂時計を見てみると、砂時計の中の砂の量は生命に与えられた時間、

下に落ちた砂はすでに過ぎ去った時間、

そしてまだ落ちていない砂が人生の残り時間。


能登半島地震があって、改めて死は遠いものではなく、すぐ側に在るものだと思えてきます!