現在行われている参議院選の特徴は、排外主義政党が票を伸ばしそうなことである。

「日本人ファースト」をスローガンにした政党に勢いがあるという新聞の情勢分析がある。「日本人ファースト」というとき、様々な解釈が可能である。しかし、政党のメインスローガンとして掲げられるとき、それは排外主義の表現である。排外主義は、第二次大戦に至る過程において、様々な国の基本的スタンスとなっていた。その最も強い国がドイツであり日本であった。イギリスやアメリカも又自国ファーストであった。自国ファーストは、経済危機が深まった1929年の世界恐慌以降、より強まり経済のブロック化が侵攻した。経済のブロック化によって危機を脱するには、自国生産力に見合った植民地を含むブロックが必要であった。植民地保有の少ない日本やドイツは、新たな植民地を求めた。が、すでに欧米諸国が植民地分割を行っており、割り込むことは難しかった。ドイツはヨーロッパ大陸を侵略し支配する方法をとった。日本は中国大陸の支配しよその第1歩が満州国の建国であった。日本の南方進出は、アメリカによる経済制裁としての石油の輸出禁止で石油を確保する為に南方の石油を確保しようとしたもの。

 自国ファーストは経済のブロック化をより強化させ、軍事衝突=戦争へと突き進んだ。自国ファーストの強調は戦争への道である。

 「日本人ファースト」は「自国(=日本)ファースト」とは違う、と彼らはいうだろう。そういういいわけが出来るスローガンである。この政党の狡猾なところである。しかし、日本人を強調すると対比として「外国人」「他民族」が出てくる。彼らは二番目、三番目となり、それは明確に排外主義となる。

 日本国憲法を絶対視するものではないし、歴史的政治的に問題があるが、現在の日本国家社会を規定している根本原理を定めているのは憲法である。国政選挙に出る以上は憲法を遵守する義務を負うことが義務づけられている(憲法九十九条)。

 憲法の前文に「・・・・日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公平と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に排除しようと務めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとし、平和の内に生存する、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。・・・・・・

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力を挙げてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」と書かれている。

 

 この前文は、条文ではないが、条文全体を規制しているものであり、憲法全体を貫いている思想である。「日本人ファースト」はこの憲法の原則を否定するものであり、戦争を前提にしている。戦争をすすめるいかなる試みも憲法違反である。軍隊や軍事力によって平和は実現できないことは歴史的事実である。

 今、「日本人ファースト」や「アメリカファースト」など、排外主義勢力が世界中で増加している。ロシアのトランプしかり、イスラエルのネタニヤフしかり。EU諸国にも存在し大きな政治勢力となっている。平和は遠くなっている。

 平和実現の方法を見いだせていないからだろう。しかし、平和を萌ぞまないひとより望む人の方が多いだろう。その人たちの声を結集することが、その政治的表現が求められている、と思う。