ボリウムを上げた時にスピーカーがびりつき、音割れがあることに気づきました。
月2~3度しか乗らない事と、小音量でラジオ程度しか聞かない事もあり気がつきませんでした。
とりあえずスピーカーの状態を確認するためにスピーカーカバーを外します。
カバーはトルクスねじ2本で固定されているので、ねじを緩め上に引き上げてコネクタを外してスピーカーを取り出します。
スピーカーは見たところでは4インチ(10cm)、ツイッターは1インチの2WAYタイプです。
ただしよく見てみるとフレームと一体化した専用品で、スピーカー部のみの取り外しは不可でした。
最初は4インチスピーカーを新たに購入し取り付けるつもりでしたが、そのためには樹脂製のフレームとスピーカー両方を加工しなければならず面倒になりそうです。
取付方法としてはスピーカーがフレームと一体化しているので、フレームの外周部を除いて支柱部を切断し、さらに新しく取り付けるスピーカのフレームを円形に加工し、それを支柱部を切断した外周部に接着する方法が一番容易ではと考えます。
しかしこの方法でもかなり面倒と思われますので、今回はオリジナルスピーカーのエッジを修理することにしました。
新しいスピーカーを購入するよりもかなり安価に仕上がるのではという思惑もあります。
こんな貧乏くさいことはせず、グレードアップしたスピーカーに変更しデットニング等もし、音質アップに励む人が多いのではとは思いますが、前述したようにラジオ程度しか聞かない小生には興味ありませんので。
スピーカーをよく見るとウレタン製と思われるエッジ部が経年変化による加水分解でボロボロになっていました。
すでに発売から20年以上経過している車種なので、エッジが劣化したのもうなずけますし、これが原因で音がびりつくのも当然です。
とりあえず修理作業に取り掛かるため、まずエッジ部を綺麗に除去します。
コーン紙を傷つけないように注意を払いながらスポンジを除去します。
あらかたスポンジが取り除けたら、次にフレームに残された接着剤のベトベトしたエッジかすを綺麗にします。
そのためにシール除去剤を使用します。
今回は粘着剤のベタつき落としにはロックタイトの刷毛塗りタイプを使用しました。
狭い部分ですのでスプレータイプよりこちらの方が作業が容易ではないかとの考えです。
除去剤を塗り粘着剤を柔らかくし、へらで取り除いていきます。
どうもゴム系接着剤が使用されているみたいで、なかなかうまく除去できませんが、根気よく作業を進めていきます。
コーン部も同様に粘着剤を剥がしていきます。
コーン紙周辺の接着剤?は、手でゆっくりはがすと簡単に取れました。
下に残った粘着剤は剥離剤を塗布した後、コーン紙が破れないように下側を指で押さながら注意深くマイナスドライバーで除去していきました。
これでフレーム側、コーン紙側の双方が綺麗になりました。
次に適合するサイズのエッジ入手するためにコーン部の大きさを採寸します。
フレームの内径が110mm、コーン部の直径が85mmとなります。
Amazonで探しましたが4インチ用エッジは外径が98mm、内径が66mmなので小さすぎます。
いろいろ探した結果、4.5インチ用エッジというのが見つかりました。
これは外径が117mm、内径が78mmです。
外径がフレーム内径の110mmに対して7mm程大きいのですが、外周をカットする事でうまくフレームに収まりそうなので、これを購入しました。
材質はゴム製でした。
準備ができたので貼り付け作業にかかります。
なお今までグリル部が付いたまま作業していましたが、どうも作業性が悪く、この時点でスピーカにつながるコードの半田を外しました。
エッジは前述した通り、7mm程小さくなるよう外周をカットしておいたものです。
右側が元の状態、左側が外周をカットしたものです。
エッジを置いてみて様子を見ました。
しかしエッジを接着するフレームのりしろ部の幅に比べて、エッジのりしろ部の幅が狭すぎて、きちんと接着できるかいまいち不安になりました。
なのでエッジを少しカットし、切断部はゴム系接着剤で結合させる方法でやってみるに事にします。
これであればフレームにきっちり接着できそうです。
接合には以前ドアゴムの修理に使用した事のあるホルツのすきまシールを使用しました。
フレームに仮固定して位置決めした後、シール剤を楊枝等で塗り接合させますが、乾燥するとゴム状になり弾力性があります。
但し小さくしたために内周部にわずかな「よれ」が生じてしまいましたが、ここら辺はコーン紙に接着する時に補正しながら接着していきます。
フレームとエッジの接着に使用する接着剤は「スピーカー・エッジ・接着」をキーワードとして、これもネットで購入しました。
スピーカーエッジ張替用に適したボンドとのうたい文句で、「木工用ボンドと比べて硬化後の樹脂被膜が柔らかく、カチカチにならず弾性が残る特性を持った無溶剤でエチレン配合のボンド」との説明があります。
容量は25gでしたが、今回の修理では使用量は半分以下で済みました。
まずフレームとコーン紙、そしてエッジの双方に刷毛を用いてボンドを塗布します。
塗布し終わったらエッジをフレームに乗せ、ずれ等が無いかを確認します。
外周部をへらで押さえてフレームに仮固定したら、次に内周部の大きさに切り抜いた段ボールを用意します。
これをコーン紙とエッジ内周部がしっかり接着するように置き、上に重しを乗せます。
重しとしては丁度良い加重に調整できるようペットボトルを用いました。
この状態で接着剤が乾燥するまで時間をおきます。
簡単に記述してますが、難しいことは無いものの初めての事なので、ここら辺はスピーカーエッジ張替のネット動画を参照にしながら作業を進めていきました。
時間を経て接着剤が透明になりました。
思っていた以上に綺麗に仕上がったかなと。
最後にスピーカーグリルも手直ししました。
グリル裏には薄いフォーム材が貼られていましたが、これも経年変化でボロボロになり、触っただけでカスが落ちてくる状態でした。
左がフォーム材が付いたまま、右がフォーム材を除去した場合の見え具合です。
両方とも中のスピーカーコーンが透けて見えますが、車内ではフォーム材が付いたものは内部はほとんど見えませんが、除去してパンチングネットのままにした方ははっきり見え、明らかに違いがみられます。
パンチンググリルそのままでも問題は無いのですが、スピーカーの防塵とコーン部が直接目につかないようにするため、ひと手間を加えて裏側にネットを貼ることにしました。
最初は普通のスピーカーボックスによく用いられている黒色サランネットをスプレー糊で貼り付けることを考えていました。
そうこうしているうちにパソコンの放熱ファン部等に使われている防塵メッシュが使えないかと思い試してみました。
試してみたのは防塵フィルターとして売られている塩ビ(PVC)材のものです。
厚さ0.3t程度と薄いものでしたので、購入前にはスプレー糊で貼り付けできると考えていたのですが、現物を手に取ってみると弾力性が有り、貼り付けは無理でした。
しかし弾力性が有るため、逆にうまくグリル下にはめ込めれば接着剤なしで外れない事が判明しました。
そこでサークルカッターを用い120φの円盤を切り出しました。
これをグリル裏からはめ込むと、ぴったり収まります。
左がネットを貼る前、右がネットを貼った状態です。
貼った場合は透け具合が小さくなり、見た感じではオリジナル状態と見分けがつきません。
接着剤を使ってサランネットを貼るより簡単で、良い選択だったと思います。
後は元通りスピーカを取り付けて完成です。
ダッシュボードスピーカーの交換がうまくいったので、同じ形状の後部座席スピーカーも同様に修理しました。
次はドアスピーカーに挑戦してみます。
こちらも経年変化で劣化していると思われますが型式が異なるのと、ドア内張りのパネルを外さないと交換できないみたいなので面倒で後回しになりそうです。