そう、僕には『勇気』が無いんだ。

ただ、一言だけ打ち込めばいいはずなのに・・・


「こんばんわ!」と言うコメントを打ち込むのに、書いては消し、書いては消し・・・時間だけが過ぎてゆく。

流石に夜遅いだけあって、人の入りが少なかった。

自分的には、仲良くなるチャンスなのかもしれないと分かっているのに、中々コメントを入れられずにいる。

あっという間に、時間だけが過ぎてしまった。


-30分間の放送枠終了-


結局、僕は失敗に終わったのだ・・・

そう、僕の人生なんて、ちっぽけなもんだ。

今の状況は何も変わることなんて無いんだ。

そう思った・・・


そして、僕は他の放送を探し始めた。

また少し経ったら、あの子が放送するかもしれないという期待を胸に・・・


しかし、今日放送をするという保障はない。

時間だけが過ぎ、そろそろ寝ないと仕事に差し支える。



僕は、最後にもう一度とマウスをクリックしてみた・・・

僕は、あらゆる放送の中から見つけ出した彼女から、目を離すことは出来なかった。

彼女は、一言だけ言葉を書いていた。

『話かけられるまで、読書をしています』と。。。


彼女は熱心に読書をしていた。

自分で放送をしているのを忘れているのでは?と思わせるほどの集中。

思わず微笑んでしまう自分がいた。

そして、心の中で何かが動き始めている気がした。

それが何なのか今は解らない。。。


彼女は時々画面のチェックをしているのだろうか、顔を持ち上げる。

一瞬、少しだけ顔が見える。

でも、はっきりと見えたわけではない。

僕は、彼女の顔を見てみたくなったのだ。

しかし、どうすればいいのか…焦るばかりで、何も思い浮かばない。

コメの仕方は、知り合いから聞いているので出来るのだが…


僕には足りないものがある…それは…


『勇気』


今まで自分から何かをするということがなかったのだ。

僕は、仕事の帰り道に、ふと夜空を見上げた。


一つの言葉が、浮んできた。



“星を見るのが大好き”


そう彼女が言ってから、まだ日が経っていない。


彼女は突然、僕の前から消えてしまったのだ。

前の日まで何事もなく普通に会話をしていたのに。。。


何が起こったのか全く理解が出来なかった。


君はいつも、嬉しそうに、僕に話かける。


僕は、どれだけその会話に助けられたことだろうか。




今の生活から抜け出したいと思ってはみるが、そう簡単には行かない。

責任という重みに耐えている毎日。

そんな日々から解放されたくて、帰ってすぐにPCの電源をつける。

知り合いから教えてもらったサイトを時が忘れるように観ている。

生放送やら動画やら、すごいにぎわいだ。

少し、自分の中には抵抗があったが、一歩踏み出してみたいという願望もあった。


それは、3か月前の夜中だった。


僕は、1つの放送に目が止まった。

そこには、一人の女性がいた。