先日、元頭頚部外科医だった耳鼻科の医師と、昔の話になった。自分と同じぐらいの年である。
昔は、ガン摘出した後、DP皮弁とかで再建していて、みんな再発して治らなかったという話だった。
自分が医師になり、大学病院で治療しているときはまさしくそんな感じ。頭頚部ガン患者の手術をするんだけど、術後のトラブルでまず退院できない人ばかり。入院患者の8割は自宅に帰せないがん患者だった。DP皮弁というのを用いて再建していたが、すぐに穴が開いてしまい、予後は悪かった。
今は、手術法もよくなり、患者の栄養管理もよくなり、こういうひどいケースは少なくなったそうだ。多くの人は術後退院できると聞き、昔との違いを痛切に感じた。
今の頭頚部ガン治療はすごい。数十年の間にすごく進歩した。若い頃しかがん患者を診ていない自分としては隔世の感である。
患者が治る。手術で治る。外科手術をしている医師にとっては、やりがいがあるのだろう。
昔は、手術しても治らない。そのまま亡くなっていく。そんな時代だったから、誰も頭頚部外科手術を積極的にやりたがらなかった。