資格によって、その価値もとりやすさも違う | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

医師や弁護士の資格は特殊です。

その資格をもつ人の独占就労を認めているからです。つまり、その資格がないと医師や弁護士の業務ができず、資格がない人がやればすごく罰せられるからです。

 

その一方で、技術が高いことだけを証明してくれるものもあります。英検なんかは古くからある資格ですね。ランクはいろいろありますが、英検1級はかなりの難関です。この資格がないと、英語に係る仕事ができないということではありません。しかし、英語の通訳などをするには最低レベルの保障になるのでしょう。

 

僕の持っている手話通訳士というのも、技術認定資格です。その資格がなくても手話通訳をしている人はいくらでもいます。僕の場合、資格があってもほとんど手話通訳をしません。つまりもっていなくても、何も問題はありません。

 

でも、医者で手話を少し勉強して片言程度の手話であっても、「手話ができるすごい医師」だと絶賛されます。そのレベルかどうかはなかなか見極めが難しいのです。僕の場合、「手話通訳士です」というと、ろう者や手話通訳者の世界では一発で通じます。

 

医者としてそんな手話が必要なわけでもなかったのですが、以前に手話通訳団体の責任者をしていた過去があり、「手話通訳士です」ぐらいでないと、かっこつかないのです。さらに言えば、資格がない人間が、手話通訳について発言して誰もまともにとりあってはくれません。手話通訳仲間に「手話通訳士の資格をとらないとだめだよ」とすすめていた立場上、資格をとらないわけにはいかなかったということです。資格をとって、ようやく仲間になれるというようなことです。

 

ゴルフをやる医師は多いですが、プロゴルファーになろうとする人はいないと思います。その門はかなり狭いからです。医師の仕事の片手間でゴルフをやっているのでは絶対にうかりません。本当にゴルフで生活していこうと思わないと、合格には届かないと思います。多くの医師ゴルファーは、「ハンデキャップがシングルだ」と自慢しますね。ゴルフをしている人には、すごくゴルフがうまいとわかってもらえますから。

 

逆にプロボクサーの資格はけっこう簡単にとれるそうです。年齢制限はあるものの、そこそこにやれれば資格はとれます。つまり、プロボクサーになれるということですね。ただし、プロボクサーになってもほとんどの人は生活できません。食べていけるのはチャンピオンレベル。裕福になれるのは、世界チャンピオンレベル。それまではバイトしながらボクシングをしている人がほとんどでしょう。矢吹丈もかなりの間、バイトしていましたね。

 

稼げる資格と、稼げない資格があるのです。医師や弁護士は資格をとっても技術がないと、稼げません。技術の習得には長い経験が必要です。最低10年ぐらいですね。その10年間の修行もない人は、話にならないのです。