軽い頭痛できて、クモ膜下出血 | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

これも昔、若い時の話である。たぶん、研修医時代。

 

頭痛と鼻汁で夜間に受診してきた患者がいた。当直担当の研修医が風邪と診断し、風邪薬をだして帰した。翌日、頭痛が続くので脳外科を受診。そこでクモ膜下出血がわかったそうだ。軽いクモ膜下出血。ただ、大きな出血になれば、いつ命を落としても不思議ではない状態。

 

当時の脳外科部長が教えてくれた。

 

昨晩、頭痛で救急外来を受診してきた患者。脳CTをとったら、軽いクモ膜下出血だった。こんな軽い頭痛で、他の風邪症状もともなっていれば、誰でも見逃す。自分もたぶん見逃す。だから、研修医の見逃しはせめられない。ただ、こういう軽い症状の中にも怖い病気が隠れている。

 

そのようなことを指導者として、若い医師に教えてくれた。

 

すべての病気を見つけられるわけではない。ベテランの医師でも同じである。医療に完璧はない。マスコミは医療ミスだとたたこうとするが、そんなに簡単なものではない。病院で働く医師は十分に承知している。それでも一人でもそのような患者をださないために、細心の注意を払わなければならない。

 

初期の段階で病気の診断がつけば、その人の症状がどう変化していくかは予測ができる。経験がないとその予測は難しいかもしれないが、それでも何度も受診してくれば、気づくチャンスはある。気づいたときに、適切に対応しなければならない。