MRとは、製薬会社の社員で、薬の情報を医師に伝える役割の人である。
医者のもとに訪問し続けると、医者と製薬会社の癒着がはじまる。医者はこのMRにいろいろな要求をするようになり、それにともなってそこの会社の薬を必要以上に使うようになる。このような関係は、不要な薬を処方させるので、好ましくはないと厚労省は考えている。
医者に薬を使わせるために、製薬会社はあらゆる接待を行っていたという歴史がある。
自分が医者になったころには、過剰な接待を受けるのはやめるようにと言われてきた。薬に関する依頼以外はしないようにと、大学医局で言われていた。
開業すると、各製薬会社のMRが頻繁に訪問してくる。製薬会社の人が来ても、それに影響受けて薬をだすようなことはない。だから、もっぱら薬などに関する情報収集としてとらえていた。毎日のようにくると、毎回30分は時間がとられる。
10年ぐらい前から、MR訪問を禁じるようになった。約束がないものは受けないが、約束そのものも受けない。その結果、めったなことではMRは来なくなった。そのMRたちはどうしているかというと、訪問OKのところに頻繁に言っているはずだ。彼らも仕事をしないとクビになるので、訪問OKというクリニックのみ、顔をだすようにはなる。
開業では、MR訪問お断りというところが多く、今も訪問を受けているのは少数だろう。その少数のところに、多くのMRが集まってくる。そこにくるのはMRの都合であるが、医者からすれば、「自分のところに多くのMRが集まってくるから、自分は人気がある」とでも思い込んでいるのだろう。
政治家の収賄も同じだが、最初は雑談からはじめる。人間関係がよくなってきたら、徐々に収賄の依頼にうつっていく。医者にとってのMRも、その接触は薬の使用につながる。製薬会社はわかっているから、頻繁に訪問して、顔をうって、自分の薬を使ってもらう。
僕自身は、MRが何度来ても、よくない薬は使わない。MRにとっては時間の無駄だと思うので、その訪問を受けるのをやめたのだ。もちろん、よい薬であれば、MRが来なくても使う。MRを派遣しなければ売れないような薬は、そもそもロクでもないものであろう。