今いる北千住の本院と、江東区亀戸に分院があり、その双方でAPD患者の診察をしていた。亀戸は週に1回だけ、診察していた。
その当時に、APDの診察した人から問い合わせがあった。実は、カルテを写真にとっており、過去の受診についてもざっくりはわかる。
コロナがはじまったばかりの頃に、受診してきた。東北地方の人である。この日、9人のAPD患者を診察していた。この日は特に受診者が多かったようだ。
APD患者の診療をやめるまで、本院では毎日2~3人、週に10人は診察していた。このときは、関東一円を中心に、患者が集まっていた。何年か前にAPDの患者をまとめたリストを作っていたが、それをみると、足立区の患者は意外と少ない。横浜市の患者が多かったことは覚えている。
今は月に一人ぐらい受診してくるが、それもすぐに紹介状をかいて、専門の病院にまわすようにしている。そのような病院も紹介状がないとみてもらえないので、紹介状を書く係をしているということだ。
APDの患者さんから多くの事を学んだ。自分が書いたAPDの本も、半分は論文、半分は患者から聞いた話である。患者さんの話が、まとまったものが、その本だと思ってもらえればいい。
医学的知識よりも、患者から学ぶことのほうが多かった。このことは他の耳鼻科の病気ではありえなかった。
自分がAPDについて詳しいのは、その研究をしているわけではなく、多くの患者さんから教わったからだ。つまり、患者を診察すればするほど、より知識がついたということである。
APD患者はたぶん、500~600人ぐらいは診ていると思う。患者の話を聞いて、アドバイスをしてということの繰り返しである。