異常のある受精卵を移植したからと、この不妊治療クリニックを訴えたそうだ。異常がある受精卵をのぞいて、正常の受精卵のみを移植できるのかどうかがわからない。どうやって調べるのだろうか。
僕が疑問に思うのは、間違えたかどうかではない。そのような形で命の選別が行われていることである。異常のある受精卵は、排除し、正常な受精卵を移植しましょう。そこには人為的なものがある。都合の悪い人間は殺してしまおうというものに近いものがある。優生思想につながるものである。
以前、障害をもつ人が子供を作れないように、断種手術が盛んにおこなわれた。数十年の時をへて、今国家損害賠償訴訟が起こっている。障害者を根絶やしするために、障害を持つ子供の子孫を作らせないためである。昔はそのような対策が必要と思われていた。
今の時代でも、不良な受精卵は選別しようとして、それがあたかも当然のように思われている。
人間の根っこの部分は昔も今も変わっていない。今の医学でそうできる技術にも不信感を覚えるし、正常の受精卵を移植してくれと頼む人にも不信感を覚える。
